[G-P-27] Paleomagnetic stratigraphy of the NB-1 core, Sanjo-cho, Nara City
Keywords:Quaternary strata, remanent magnetization polarity, Osaka Group, Nara Basin
奈良市三条町で採取された コア長 304.2m のNB-1 ボーリングコア(以下,NB-1コアと呼ぶ)について岩相記載・反射法地震探査・花粉分析の結果が示され,深度 42.83~43.30m にアズキ火山灰層,深度 86.71~87.50m にピンク火山灰層,深度 96.65~109.00m に Ma1 海成粘土層が挟まれる(文部科学省研究開発局,2022).しかし,Ma1 海成粘土層より下位について明確な鍵層は確認されない.そこで,NB-1コアの年代評価指標を得ることを目的として,コアの古地磁気層序を明らかにするため残留磁化測定を実施した.
本研究では 40 層準から測定用試料を採取し,残留磁化方向の測定には2G Enterprises製の超伝導磁力計であるModel755-4Kを使用した.二次磁化の除去のため,夏原技研製 DEM-95Cと2軸タンブラー付きのソレノイドコイルを使用した段階交流消磁と,夏原技研製コントローラー TDS-1と電気炉を使用した段階熱消磁を行い,各段階の消磁後の測定結果に対して主成分解析を行うことで初生残留磁化の方向を求め,試料の残留磁化方向の伏角をもとに磁化極性の評価を行った(Fig.1).
深度27.50mまでの2試料は,伏角が28.1~60.7度といずれも正極性を示し,深度35.01mでは伏角が-29.2~-5.7度と逆極性を示す.深度30m付近は花粉分析結果から Ma4層相当層層準にあたり,深度30m以上の層準はブルン・クロンに対比できる.
深度73.60,81.50mの2層準では,伏角が26.2~84.9度といずれも正極性を示し,ピンク火山灰のやや上位の層準にあたり,この間の層準はハラミロ・サブクロンに相当する.この層準の下位のMa1 海成粘土層基底までの間は,伏角が下向き傾向となるが低角で,その極性は不明瞭であった.これより下位の層準では,深度130.60~133.30mで伏角が7.9~73.8度,深度178.20~184.70mで19.5~49.0度となり,正極性を示す以外,伏角は概ね上向きとなり逆極性を示す.このことから,NB-1 コアの深度30m付近より下位の層準はマツヤマ・クロンに相当する.アズキ火山灰層とピンク火山灰層の深度からこの下位の層準の堆積速度を 0.23 m/ka と仮定すると,深度130.60~133.30mの正極性の層準の堆積年代は約 1.24Maとなり,コブマウンテン・サブクロンに相当するとみられる.
NB-1掘削地点を通過する反射断面(文部科学省研究開発局,2022)の標高-280m 付近では側方連続性の良い反射面が確認されており,NB-1コアの下端はマツヤマ・クロン内にあり,オルドバイ・サブクロンに達していないとみられることから,NB-1コアの下端より下位約50mにあるこの側方連続性の良い反射面は,福田火山灰層準である可能性が高い.
引用文献
文部科学省研究開発局(2022)奈良盆地東縁断層帯における重点的な調査観測 令和元~3年度 成果報告書,558p.
本研究では 40 層準から測定用試料を採取し,残留磁化方向の測定には2G Enterprises製の超伝導磁力計であるModel755-4Kを使用した.二次磁化の除去のため,夏原技研製 DEM-95Cと2軸タンブラー付きのソレノイドコイルを使用した段階交流消磁と,夏原技研製コントローラー TDS-1と電気炉を使用した段階熱消磁を行い,各段階の消磁後の測定結果に対して主成分解析を行うことで初生残留磁化の方向を求め,試料の残留磁化方向の伏角をもとに磁化極性の評価を行った(Fig.1).
深度27.50mまでの2試料は,伏角が28.1~60.7度といずれも正極性を示し,深度35.01mでは伏角が-29.2~-5.7度と逆極性を示す.深度30m付近は花粉分析結果から Ma4層相当層層準にあたり,深度30m以上の層準はブルン・クロンに対比できる.
深度73.60,81.50mの2層準では,伏角が26.2~84.9度といずれも正極性を示し,ピンク火山灰のやや上位の層準にあたり,この間の層準はハラミロ・サブクロンに相当する.この層準の下位のMa1 海成粘土層基底までの間は,伏角が下向き傾向となるが低角で,その極性は不明瞭であった.これより下位の層準では,深度130.60~133.30mで伏角が7.9~73.8度,深度178.20~184.70mで19.5~49.0度となり,正極性を示す以外,伏角は概ね上向きとなり逆極性を示す.このことから,NB-1 コアの深度30m付近より下位の層準はマツヤマ・クロンに相当する.アズキ火山灰層とピンク火山灰層の深度からこの下位の層準の堆積速度を 0.23 m/ka と仮定すると,深度130.60~133.30mの正極性の層準の堆積年代は約 1.24Maとなり,コブマウンテン・サブクロンに相当するとみられる.
NB-1掘削地点を通過する反射断面(文部科学省研究開発局,2022)の標高-280m 付近では側方連続性の良い反射面が確認されており,NB-1コアの下端はマツヤマ・クロン内にあり,オルドバイ・サブクロンに達していないとみられることから,NB-1コアの下端より下位約50mにあるこの側方連続性の良い反射面は,福田火山灰層準である可能性が高い.
引用文献
文部科学省研究開発局(2022)奈良盆地東縁断層帯における重点的な調査観測 令和元~3年度 成果報告書,558p.