[J1-P-6] Fossil comatulid ossicles from the Pleistocene Shimosa Group, in Ami Town, Ibaraki Prefecture, central Japan
(注)当日はポスター掲示のみ.コアタイムの質疑応答はありません.
研究者名:渡邉百恵・藤生こころ・田島 満・大塚万優・清水祐希・藤澤樹花・加賀藍稀
本研究は、茨城県阿見町の更新統下総層群から産出したウミシダ骨板化石について研究したものである.ウミシダとは,棘皮動物門ウミユリ綱ウミシダ目の総称である.ウミシダは、多数の骨板が集まってできているが,死後急速にバラバラに分解されるため肉眼で形がわかる化石として残りにくく、その研究例は少ない.本研究の目的は,堆積物中からのウミシダ骨板化石の採取、現生と化石との比較,種名の確定,古環境の推定,ウミシダ骨板化石分析が新たな微古生物学の1分野となるかの検討である。
研究試料採取地は、茨城県阿見町島津である.島津の試料採取層準は、下総層群の木下層か清川層のどちらかに対比される.木下層は約12万年前、清川層は約20万年前の地層である.
研究方法として,試料と水をビーカーに入れて加熱,懸濁,水洗処理を行った.島津の試料1kgを0.5 mmの篩で,また80gを0.075 ㎜の篩で水洗処理をした.残渣を双眼実体顕微鏡と面相筆を用いてウミシダ骨板化石を拾い出した.産出した個体を走査型電子顕微鏡(以下SEM)で撮影した.
今回ウミシダ骨板化石が産出した地層は、貝形虫や有孔虫や有孔虫化石の分析結果から,外洋水の影響がある内湾の湾中央〜湾口部で砂泥底であると推定された.ウミシダの専門家より,ウミシダ骨板化石の候補として、内湾に生息する種であるトゲバネウミシダとニッポンウミシダの現生の標本を送っていただいた.現生ウミシダ標本は、一部をピンセットでちぎり,家庭用漂白剤で筋肉を溶かし,取り出した骨板を水で洗浄,SEMで撮影した.
結果として,ウミシダ骨板化石は、島津から腕板5個、羽枝骨17個、巻枝板3個の合計25個が産出した。
腕板化石・羽枝骨化石・巻枝板化石について、現生のトゲバネウミシダ・ニッポンウミシダから取り出した腕板・羽枝骨・巻枝板と比較検討した.その結果,腕板化石・羽枝骨化石・巻枝板化石は,全体の形がトゲバネウミシダに似ていることが分かった.島津で産出したウミシダ腕板化石とトゲバネウミシダとニッポンウミシダの腕板の比較を図に示した。
産出した化石は,トゲバネウミシダ Antedon serrataに同定できると考えられる.化石をトゲバネウミシダに同定したこと,第四系からのウミシダ化石産出報告,バラバラの状態のウミシダ骨板化石から種の同定は日本初である.トゲバネウミシダは潮間帯から水深20m以浅の報告がほとんどであるため,示相化石として有効であると考えられる.今まで海成層の微化石分析でウミシダ骨板化石は見落とされていた.ウミシダ骨板化石を検討することで新たな微古生物学1分野になる可能性がある.
本研究は、茨城県阿見町の更新統下総層群から産出したウミシダ骨板化石について研究したものである.ウミシダとは,棘皮動物門ウミユリ綱ウミシダ目の総称である.ウミシダは、多数の骨板が集まってできているが,死後急速にバラバラに分解されるため肉眼で形がわかる化石として残りにくく、その研究例は少ない.本研究の目的は,堆積物中からのウミシダ骨板化石の採取、現生と化石との比較,種名の確定,古環境の推定,ウミシダ骨板化石分析が新たな微古生物学の1分野となるかの検討である。
研究試料採取地は、茨城県阿見町島津である.島津の試料採取層準は、下総層群の木下層か清川層のどちらかに対比される.木下層は約12万年前、清川層は約20万年前の地層である.
研究方法として,試料と水をビーカーに入れて加熱,懸濁,水洗処理を行った.島津の試料1kgを0.5 mmの篩で,また80gを0.075 ㎜の篩で水洗処理をした.残渣を双眼実体顕微鏡と面相筆を用いてウミシダ骨板化石を拾い出した.産出した個体を走査型電子顕微鏡(以下SEM)で撮影した.
今回ウミシダ骨板化石が産出した地層は、貝形虫や有孔虫や有孔虫化石の分析結果から,外洋水の影響がある内湾の湾中央〜湾口部で砂泥底であると推定された.ウミシダの専門家より,ウミシダ骨板化石の候補として、内湾に生息する種であるトゲバネウミシダとニッポンウミシダの現生の標本を送っていただいた.現生ウミシダ標本は、一部をピンセットでちぎり,家庭用漂白剤で筋肉を溶かし,取り出した骨板を水で洗浄,SEMで撮影した.
結果として,ウミシダ骨板化石は、島津から腕板5個、羽枝骨17個、巻枝板3個の合計25個が産出した。
腕板化石・羽枝骨化石・巻枝板化石について、現生のトゲバネウミシダ・ニッポンウミシダから取り出した腕板・羽枝骨・巻枝板と比較検討した.その結果,腕板化石・羽枝骨化石・巻枝板化石は,全体の形がトゲバネウミシダに似ていることが分かった.島津で産出したウミシダ腕板化石とトゲバネウミシダとニッポンウミシダの腕板の比較を図に示した。
産出した化石は,トゲバネウミシダ Antedon serrataに同定できると考えられる.化石をトゲバネウミシダに同定したこと,第四系からのウミシダ化石産出報告,バラバラの状態のウミシダ骨板化石から種の同定は日本初である.トゲバネウミシダは潮間帯から水深20m以浅の報告がほとんどであるため,示相化石として有効であると考えられる.今まで海成層の微化石分析でウミシダ骨板化石は見落とされていた.ウミシダ骨板化石を検討することで新たな微古生物学1分野になる可能性がある.