130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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J1. Junior Session

[1poster69-93] J1. Junior Session

Sun. Sep 17, 2023 1:30 PM - 3:00 PM Jr._poster (Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

[J1-P-19] Estimating the size of the moon from lunar eclipse images

*Natural Science club Gifu prefectural Kamo High School1 (1. Gifu prefectural Kamo High School Natural Science club)

研究者氏名:高橋絢子、富田木乃香、佐藤愛子

 月食は地球の影が月に投影される現象であり,月食画像の地球の影と月の大きさを比較により月の実際の大きさを推定することができる.月食の進行にともないどの程度「食分」が進んだ時の画像が適切なのかを確認することを行った.
 月食では,半影と本影の境界が明瞭でないため,画像処理ソフトを用いてポスタライズ処理し,明るさを階調に分けることで本影の輪郭をはっきりとさせた.
 画像ソフトを用いて1つの画像ファイルにつき月の円周上,地球の本影の輪郭の上のそれぞれ任意の4点の座標の計測を50回ずつおこなった.計測した2点の座標を結ぶ直線の垂直二等分線を用いて月や地球の影の中心を求め,これから円の公式を用いて月の半径rと地球の影の半径Rを求めた.これらの作業では表計算ソフトを使用した.
 月食では半影が生じる分,本影の大きさは月の大きさ一つ分小さくなっている「高校生天体観測ネットワーク(2011)」.地球の半径を6,370 kmして,画像上の月の半径rと本影の半径Rから,月の半径を求めた. 
    月の半径 = 6,370r/(R+r)
 2022年11月8日21:15に国立天文台が撮影した画像をポスタライズ処理した画像を用いて計測・計算した結果,月の半径は1,731 kmとなった.月の大きさ1,737 kmに非常に近い値となった.同様に2018年1月31日21:34にぐんま天文台が撮影した画像を用いた計測・計算では,月の半径は2,298 kmとなった.岐阜県立加茂高等学校(2014)による2014年10月8日21:12撮影の画像から1,766 kmが求められている.
 本影によって覆われた月の直径の度合いである「食分」は,食分が大きくなるほど月食の割合が大きく,本影が月の中心まで達した状態が食分0.5,皆既月食中は食分が1を超える.
2022年11月8日21:15では食分が0.51,2018年1月13日21:34では食分が0.79,2014年10月8日21:12では食分が0.33であった.月の半径の誤差が大きくなった2018年の画像では,食分が0.79と大きいため,隠されていない月の円周の弧が短くなり,月の中心を求めたときに誤差が大きくなったと考えられる.食分が小さいときには,地球の影の輪郭はわずかであり,地球の中心を求めたとき誤差が大きくなると考えられる.
 他に,クレーターや月の海によって地球の影の輪郭が滑らかな曲線とならないことも誤差を生じる原因となっている.また,撮影の露出時間によっては,地球の大気によって屈折した光が本影部分にあたっている部分まで写っていて本影との境界が分かりにくくなることも誤差を生じる.

キーワード  月食 月の半径 画像処理ソフト 表計算ソフト ポスタライズ 食分