[J1-P-25] Investigating the Underground of Iiyama Senior High School -Are there any Faults?-
研究者氏名:羽田野優 田中颯人 嘉部陽日 増田結菜 小野沢克 上原奈津実 小林菜々美 荻原優歌子 山本悠生 月岡想一朗 吉田楓矢 小林楓 宮本有彩
目的
・校舎建て替えのために平成22年に実施された地盤調査のボーリングコア30mを用いて飯山高校周辺の堆積環境・地形発達史を考察する.
・1847年善光寺地震の際に生じたと考えられる段差(杉戸,2013)が学校周辺に存在し,断層が学校の地下に存在する可能性もある(図1)ため,断層の存在を明らかにする.
研究方法
①ボーリングコアの観察・記載と堆積相解析
ボーリングコア 30m分を詳細に観察(色・粒径・粒ぞろい・堆積構造・ラミナなど)・記載し,柱状図を作成し,堆積環境とその変遷を考察する.
②火山灰分析
ボーリングコア 5 cmごとに火山灰分析(深度別火山灰砂粒組成を導出)を行う.火山灰分析は,わんがけ(泥を洗い流す),乾燥,ふるいわけ,双眼実体顕微鏡による検鏡,粒子の同定とカウントを行い,砂粒組成を導く.砂粒組成からボーリングコアと既知の年代が明らかな広域火山灰との照合を行う.
③14C放射年代測定
堆積物に植物片が含まれている部分が複数箇所あるため,堆積年代を明らかにするために14C放射年代測定を行う.
④断層の存在・変位について考察
学校から南南東約 2.5kmの千曲川右岸では広域火山灰である姶良丹沢(AT)火山灰(約3万年前)・浅間草津火山灰(約1.6 万年前) が検出されており,学校から南に約1kmの同一段丘面上の地下約13mの年代は約3.9万年前と報告されている(杉戸他,2015).これらの周辺の資料と飯山高校のボーリングコアの情報から断層の存在・変位について考察を行う.
結果と考察
①ボーリングコアの観察・記載と堆積相解析
ボーリングコアは固結〜未固結の礫・砂・泥の堆積物であった.その観察から堆積相解析を行った.飯山高校は,千曲川から約200m西,千曲川の支流である皿川から約200m南に位置する.地理的な環境から,ボーリングコアで見られる堆積物は皿川と千曲川両河川の影響を強く受けた河川成堆積物であると考えられる.
-28m〜-21mでは,上方粗粒化しその後上方細粒化するサイクルが2回見られた.-21m〜-16mで上方粗粒化が2回見られた.-10m〜0mでは,上方細粒化しその後上方粗粒化するサイクルが3回見られた.河川成の堆積物は,河川からの距離が近いと礫,遠いと泥が堆積する.シルトから礫と移り変わる上方粗粒化は,河川と飯山高校の距離が近くなったことを示し,礫からシルトと移り変わる上方細粒化は,河川との距離が遠くなったことを示すと考えられる.よって,河川が流路を変化させながら堆積させたものだと考えられる.
②火山灰分析
-23.5mでは紫灰色細粒火山灰が観察できた.わんがけ,ふるいわけし,双眼実体顕微鏡で観察したところ,ほとんどが風化した安山岩片であった.14C年代測定値を参考にし,噴出源と堆積年代を明らかにし,報告する予定である.
③14C放射年代測定
-23.5mに存在する紫灰色細粒火山灰の下位15cmの有機質シルトに含まれる植物片の14C放射年代測定値を報告する予定である.
④断層の存在・変位について考察
①②③を総合して考察し,報告する予定である.
今後の予定
飯山高校ボーリングコア30m分全ての火山灰分析を行う.
学校周辺の地下構造を明らかにするために表面波探査を実施する予定である.
引用文献
杉戸信彦(2013)1847年善光寺地震の地表地震断層に関する既存資料の整理,法政大学人間環境論集,14,3,p.171-194
杉戸信彦・廣内大助・塩野敏昭(2015)長野盆地西縁の変動地形と活断層,地質学雑誌,121,7,p.217-232
地理院地図(電子国土Web)https://maps.gsi.go.jp/(2023年7月30日閲覧)
謝辞
本研究は,2023年度飯山市高校生チャレンジ,2023年度長野県学校科学教育奨励基金の補助のもと行っています.
キーワード:ボーリングコア 柱状図 火山灰砂粒組成 堆積相解析 善光寺地震
目的
・校舎建て替えのために平成22年に実施された地盤調査のボーリングコア30mを用いて飯山高校周辺の堆積環境・地形発達史を考察する.
・1847年善光寺地震の際に生じたと考えられる段差(杉戸,2013)が学校周辺に存在し,断層が学校の地下に存在する可能性もある(図1)ため,断層の存在を明らかにする.
研究方法
①ボーリングコアの観察・記載と堆積相解析
ボーリングコア 30m分を詳細に観察(色・粒径・粒ぞろい・堆積構造・ラミナなど)・記載し,柱状図を作成し,堆積環境とその変遷を考察する.
②火山灰分析
ボーリングコア 5 cmごとに火山灰分析(深度別火山灰砂粒組成を導出)を行う.火山灰分析は,わんがけ(泥を洗い流す),乾燥,ふるいわけ,双眼実体顕微鏡による検鏡,粒子の同定とカウントを行い,砂粒組成を導く.砂粒組成からボーリングコアと既知の年代が明らかな広域火山灰との照合を行う.
③14C放射年代測定
堆積物に植物片が含まれている部分が複数箇所あるため,堆積年代を明らかにするために14C放射年代測定を行う.
④断層の存在・変位について考察
学校から南南東約 2.5kmの千曲川右岸では広域火山灰である姶良丹沢(AT)火山灰(約3万年前)・浅間草津火山灰(約1.6 万年前) が検出されており,学校から南に約1kmの同一段丘面上の地下約13mの年代は約3.9万年前と報告されている(杉戸他,2015).これらの周辺の資料と飯山高校のボーリングコアの情報から断層の存在・変位について考察を行う.
結果と考察
①ボーリングコアの観察・記載と堆積相解析
ボーリングコアは固結〜未固結の礫・砂・泥の堆積物であった.その観察から堆積相解析を行った.飯山高校は,千曲川から約200m西,千曲川の支流である皿川から約200m南に位置する.地理的な環境から,ボーリングコアで見られる堆積物は皿川と千曲川両河川の影響を強く受けた河川成堆積物であると考えられる.
-28m〜-21mでは,上方粗粒化しその後上方細粒化するサイクルが2回見られた.-21m〜-16mで上方粗粒化が2回見られた.-10m〜0mでは,上方細粒化しその後上方粗粒化するサイクルが3回見られた.河川成の堆積物は,河川からの距離が近いと礫,遠いと泥が堆積する.シルトから礫と移り変わる上方粗粒化は,河川と飯山高校の距離が近くなったことを示し,礫からシルトと移り変わる上方細粒化は,河川との距離が遠くなったことを示すと考えられる.よって,河川が流路を変化させながら堆積させたものだと考えられる.
②火山灰分析
-23.5mでは紫灰色細粒火山灰が観察できた.わんがけ,ふるいわけし,双眼実体顕微鏡で観察したところ,ほとんどが風化した安山岩片であった.14C年代測定値を参考にし,噴出源と堆積年代を明らかにし,報告する予定である.
③14C放射年代測定
-23.5mに存在する紫灰色細粒火山灰の下位15cmの有機質シルトに含まれる植物片の14C放射年代測定値を報告する予定である.
④断層の存在・変位について考察
①②③を総合して考察し,報告する予定である.
今後の予定
飯山高校ボーリングコア30m分全ての火山灰分析を行う.
学校周辺の地下構造を明らかにするために表面波探査を実施する予定である.
引用文献
杉戸信彦(2013)1847年善光寺地震の地表地震断層に関する既存資料の整理,法政大学人間環境論集,14,3,p.171-194
杉戸信彦・廣内大助・塩野敏昭(2015)長野盆地西縁の変動地形と活断層,地質学雑誌,121,7,p.217-232
地理院地図(電子国土Web)https://maps.gsi.go.jp/(2023年7月30日閲覧)
謝辞
本研究は,2023年度飯山市高校生チャレンジ,2023年度長野県学校科学教育奨励基金の補助のもと行っています.
キーワード:ボーリングコア 柱状図 火山灰砂粒組成 堆積相解析 善光寺地震