130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

T1[Topic Session]Deformation and reaction of rocks and minerals

[2oral101-04] T1[Topic Session]Deformation and reaction of rocks and minerals

Mon. Sep 18, 2023 8:45 AM - 9:45 AM oral room 1 (4-11, Yoshida-South Campus Bldg. No 4)

Chiar:Hideki Mukoyoshi(Shimane University), Keishi Okazaki(Hiroshima University), Masaoki Uno(Tohoku University)

9:15 AM - 9:30 AM

[T1-O-13] Higher magnetic susceptibility anomalies in the latest slip zone of the Neodani Fault drillcore

*Tomoyuki Ohtani1, Shunsuke Aoki2, Itsuki Yamada1 (1. Department of Civil Engineering, Gifu University, 2. Graduate School of Natural Science and Technology, Gifu University)

Keywords:higher magnetic susceptibility anomalies, latest slip zone, Neodani Fault

根尾谷断層は1891年に濃尾地震を引き起こし,最大で7.4 mの水平変位及び6 mの鉛直変位が生じたことがよく知られるものの,断層岩としての特徴はこれまでにあまり調べられていない.近年,原子力規制庁が岐阜県本巣市根尾水鳥と根尾長嶺において断層ガウジ帯を貫くボーリング掘削を行い,そのコア試料の観察・分析を行うことによって,最新すべり面の特徴を調べることができる.ここでは,帯磁率分布が示す最新すべり面の特徴を示すとともに,そこから考えられる摩擦発熱について述べる. 根尾谷断層は濃尾地震の際に温見断層,梅原断層とともに地表変位を生じ,岐阜・福井県境である能郷白山付近から岐阜県本巣市根尾長嶺,本巣市日当を経て,岐阜市北西部付近へ至る長さ約35 kmの活断層である.根尾長嶺ではR3NDFD-1とR3NDFP-1の2本のボーリング孔が掘削された.R3NDFD-1は傾斜82 °,長さ80 mであり,R3NDFP-1は傾斜60 °,長さ30 mである.明瞭な断層ガウジ帯はいずれのボーリングコアでも1ヶ所のみである.最新すべり面は断層ガウジ帯における連続性,直線性のよい面として認められ,R3DFD-1では深度64.73~65.96 m,R3-NDFP-1では深度15.93~16.07 mに分布している.いずれのボーリングコアでも最新すべり面とその近傍には色調の濃淡によって分類できる断層岩類が分布しており,最新すべり面沿いでは主として暗灰色断層ガウジと優黒色断層ガウジが不連続に分布している. ポータブル帯磁率計を用いて帯磁率を1 cm 間隔で測定した結果,最新すべり面では帯磁率が約0.5であり,暗灰色断層ガウジ・優黒色断層ガウジでは一部で1.0~2.0と周囲より高い値を示す.一方で,最新すべり面とこれらの断層ガウジを除けば,最新すべり面の近傍であっても帯磁率は約0.3である.また,最新すべり面から離れた弱破砕の玄武岩では15~20とかなり高い値であるのに対して,弱破砕の砂岩・泥岩,チャートでは0.01~0.2である. XRD分析の結果,暗灰色断層ガウジ・優黒色断層ガウジと玄武岩において磁鉄鉱が認められる.また,断層ガウジの一部にはからスメクタイトが認められる. Yang et al. (2020) によると,スメクタイトは250 ℃以上に加熱されることで細粒な磁鉄鉱が形成する.このため,暗灰色断層ガウジ・優黒色断層ガウジに含まれる磁鉄鉱は,断層活動時に生じる摩擦発熱によって,スメクタイトから形成したものであると考えられる.ボーリングコアの最新すべり面は深度60 mに位置しており摩擦発熱はそれほど大きくないと考えられるため,スメクタイトから磁鉄鉱が形成したのは濃尾地震のときではなく,この断層ガウジがより深部に位置していたときであると考えられる.なお,暗灰色断層ガウジ・優黒色断層ガウジに玄武岩が混入しても帯磁率は高くなるものの,鉱物の組み合わせが大きく異なることから,その可能性は低い.最新すべり面でも周囲と比べてやや高い値を示しており,これは最新すべり面の近傍にある暗灰色断層ガウジ・優黒色断層ガウジが破砕され,それが最新すべり面内に混入した可能性が示唆される.

参考文献
Yang et al. (2020) Review of Geophysics, 58 (4).