3:00 PM - 3:15 PM
[T12-O-12] (entry) Reconstruction and Age Constraints of Paleoproterozoic Volcaniclastic Stratigraphy in the Cape Three Points Area, Ashanti Belt, Ghana
Keywords:Paleoproterozoic, Birimian greenstone belt, Volcaniclastic Stratigraphy
西アフリカに分布するビリミアン超層群は約23-20億年前に形成され,大気酸素濃度上昇イベントの過渡期にあたると考えられる.我々は当時の海底堆積物を保存するアシャンチ帯ケープスリーポイント(以下,CTP)地域に注目して岩相層序の復元と堆積年代の制約を行った.
アシャンチ帯は海洋性島弧起源の塩基性-中性の火山岩・火山砕屑岩(ビリミアン火山岩系:約2.17Ga以前),浅海堆積物(タルクワ系:約2.10-2.09Ga),TTG型花崗岩類(約2.17Ga)で構成される1,2.本地質帯は始原的な海洋性島弧環境(2.2Ga以前)から,エボニアン造山運動(2.2-2.1Ga)を経ており,緑色片岩相,また一部で角閃岩相の変成作用を被っている1.
本研究対象地域のアシャンチ帯南部海岸線CTP地域には,上記のビリミアン岩系に属する火山岩・火山砕屑岩および花崗岩類が露出する.特に連続性の良いビリミアン岩系の地層が,KutikeからAkwidaaまでの東西約4㎞のセクションで四か所確認され,それぞれから層序ユニットを復元し西から順にKu ユニット(350m),At-Wユニット(600m),At-Eユニット(850m),Ak ユニット(200m)とした.各層序ユニット内では東側上位で地層が分布する.
【ユニット内の岩相】Kuユニットは,暗灰色‐暗緑色の火山砕屑物で構成される厚さ数十センチメートルの定調な混濁流堆積物が支配的である.細粒凝灰岩優勢層から細礫(稀に中礫)を含む粗粒凝灰岩優勢層へと上方粗粒化する.厚さ数㎝の特徴的な白色細粒凝灰岩層が頻繁に挟まれる.At-Wユニットは,Kuユニットの岩相と類似し,細粒凝灰岩優勢層と粗粒凝灰岩優勢層が繰り返し,薄い白色細粒凝灰岩層が挟まれる.At-Eユニットは層厚が厚い火山岩・粗粒凝灰岩の堆積により特徴づけられる.下部においては,玄武岩質溶岩層が粗粒凝灰岩優勢層に挟まれて産出する.この粗粒凝灰岩優勢層は明緑色から暗緑色へと色を変化させながら上方細粒化し,下部上位ではKu/At‐Wユニットに類似する岩相の薄い白色細粒凝灰岩層を挟む暗灰色‐暗緑色の細粒‐粗粒凝灰岩へと変化する.中部は,層厚がメートルスケールに及ぶ無構造の凝灰質火山砕屑岩層優勢部(厚さ10m以上)が上方細粒化するパターンを二回繰り返す.上部には斜交層理が発達する粗粒凝灰岩や,暗緑色の基質と緑灰色の円礫からなる礫質凝灰岩が堆積する.Akユニットは,下部には分厚く均質な粗粒凝灰岩層が堆積し,上部には黒色泥岩と火山灰層の薄層(1cm以下)が互層しており,下部から上部にかけて上方細粒化を示す.凝灰岩層は,短冊状斜長石を多く含み,砂サイズの石英を含む.
【U‐Pb年代】本地域では2カ所においてSHRIMPを用いたジルコンU-Pb年代測定を行った.At-Eユニットの火山砕屑岩中に貫入する小規模な石英斑岩からは,2265.6±4.6Ma(MSWD=0.95,n=48),Akwidaaユニット中の均質な粗粒凝灰岩層からは,2172.0±6.1Ma(MSWD=1.05,n=40),2172.6±8.8Ma(MSWD=1.07,n=35)という代が得られた.
At-Eユニットで貫入岩から得られた年代値により,堆積岩は約2265 Maよりも古い堆積年代を持つと考えられる.また,均質な粗粒凝灰岩層が挟まれるAkユニットの堆積年代は約2172 Maと推定される.これらの年代からAt-EユニットはAkユニットより約100 Ma古い可能性がある.
【まとめ】ビリミアン超層群CTP地域の火山砕屑岩層は約22.7億年前から約21.7億年前に形成された.
KuユニットからAt-Wユニットまでの火山砕屑岩層の特徴から,火山砕屑岩の層厚は最大でも1メートル程度で変化に乏しいため,定調な砕屑物流入が長期間継続する堆積環境だと考えられる.At-Eユニットでは,玄武岩質溶岩の産出や,層厚が10m以上ある凝灰質火山砕屑岩優勢部の複数回にわたる産出により示される通り,比較的急速な堆積を示す地層が多く含まれる.このことから,火山噴火による供給物質の増加が強く反映される堆積環境だと考えられる.Akユニットでは,急速な堆積が考えられる下部の特徴から,At-Eユニットに類似した堆積環境が考えられる.
以上の堆積相の特徴からKu/At-Wユニットは,比較的深い水深の堆積場である海洋性島弧火山エプロンの末端部における堆積層であると考えられる.一方でAt-E/Akユニットは,比較的浅い水深の堆積場である海洋性島弧火山の供給源に近い火山エプロン中腹部における堆積層であると考えられる.
1 Loh et al. (1999) GS of Ghana.
2 Perrouty et al. (2012) PR.
アシャンチ帯は海洋性島弧起源の塩基性-中性の火山岩・火山砕屑岩(ビリミアン火山岩系:約2.17Ga以前),浅海堆積物(タルクワ系:約2.10-2.09Ga),TTG型花崗岩類(約2.17Ga)で構成される1,2.本地質帯は始原的な海洋性島弧環境(2.2Ga以前)から,エボニアン造山運動(2.2-2.1Ga)を経ており,緑色片岩相,また一部で角閃岩相の変成作用を被っている1.
本研究対象地域のアシャンチ帯南部海岸線CTP地域には,上記のビリミアン岩系に属する火山岩・火山砕屑岩および花崗岩類が露出する.特に連続性の良いビリミアン岩系の地層が,KutikeからAkwidaaまでの東西約4㎞のセクションで四か所確認され,それぞれから層序ユニットを復元し西から順にKu ユニット(350m),At-Wユニット(600m),At-Eユニット(850m),Ak ユニット(200m)とした.各層序ユニット内では東側上位で地層が分布する.
【ユニット内の岩相】Kuユニットは,暗灰色‐暗緑色の火山砕屑物で構成される厚さ数十センチメートルの定調な混濁流堆積物が支配的である.細粒凝灰岩優勢層から細礫(稀に中礫)を含む粗粒凝灰岩優勢層へと上方粗粒化する.厚さ数㎝の特徴的な白色細粒凝灰岩層が頻繁に挟まれる.At-Wユニットは,Kuユニットの岩相と類似し,細粒凝灰岩優勢層と粗粒凝灰岩優勢層が繰り返し,薄い白色細粒凝灰岩層が挟まれる.At-Eユニットは層厚が厚い火山岩・粗粒凝灰岩の堆積により特徴づけられる.下部においては,玄武岩質溶岩層が粗粒凝灰岩優勢層に挟まれて産出する.この粗粒凝灰岩優勢層は明緑色から暗緑色へと色を変化させながら上方細粒化し,下部上位ではKu/At‐Wユニットに類似する岩相の薄い白色細粒凝灰岩層を挟む暗灰色‐暗緑色の細粒‐粗粒凝灰岩へと変化する.中部は,層厚がメートルスケールに及ぶ無構造の凝灰質火山砕屑岩層優勢部(厚さ10m以上)が上方細粒化するパターンを二回繰り返す.上部には斜交層理が発達する粗粒凝灰岩や,暗緑色の基質と緑灰色の円礫からなる礫質凝灰岩が堆積する.Akユニットは,下部には分厚く均質な粗粒凝灰岩層が堆積し,上部には黒色泥岩と火山灰層の薄層(1cm以下)が互層しており,下部から上部にかけて上方細粒化を示す.凝灰岩層は,短冊状斜長石を多く含み,砂サイズの石英を含む.
【U‐Pb年代】本地域では2カ所においてSHRIMPを用いたジルコンU-Pb年代測定を行った.At-Eユニットの火山砕屑岩中に貫入する小規模な石英斑岩からは,2265.6±4.6Ma(MSWD=0.95,n=48),Akwidaaユニット中の均質な粗粒凝灰岩層からは,2172.0±6.1Ma(MSWD=1.05,n=40),2172.6±8.8Ma(MSWD=1.07,n=35)という代が得られた.
At-Eユニットで貫入岩から得られた年代値により,堆積岩は約2265 Maよりも古い堆積年代を持つと考えられる.また,均質な粗粒凝灰岩層が挟まれるAkユニットの堆積年代は約2172 Maと推定される.これらの年代からAt-EユニットはAkユニットより約100 Ma古い可能性がある.
【まとめ】ビリミアン超層群CTP地域の火山砕屑岩層は約22.7億年前から約21.7億年前に形成された.
KuユニットからAt-Wユニットまでの火山砕屑岩層の特徴から,火山砕屑岩の層厚は最大でも1メートル程度で変化に乏しいため,定調な砕屑物流入が長期間継続する堆積環境だと考えられる.At-Eユニットでは,玄武岩質溶岩の産出や,層厚が10m以上ある凝灰質火山砕屑岩優勢部の複数回にわたる産出により示される通り,比較的急速な堆積を示す地層が多く含まれる.このことから,火山噴火による供給物質の増加が強く反映される堆積環境だと考えられる.Akユニットでは,急速な堆積が考えられる下部の特徴から,At-Eユニットに類似した堆積環境が考えられる.
以上の堆積相の特徴からKu/At-Wユニットは,比較的深い水深の堆積場である海洋性島弧火山エプロンの末端部における堆積層であると考えられる.一方でAt-E/Akユニットは,比較的浅い水深の堆積場である海洋性島弧火山の供給源に近い火山エプロン中腹部における堆積層であると考えられる.
1 Loh et al. (1999) GS of Ghana.
2 Perrouty et al. (2012) PR.