11:00 AM - 11:15 AM
[T13-O-7] In situ observation of topography and geology by a manned submersible on the Japan Trench floor in the epicenter area of the 2011 Tohoku-oki earthquake
2011年東北地方太平洋沖地震では,様々な観測データの解析から,地下およそ24 kmで開始したプレート境界断層の破壊が海溝底にまで進展したと推定されている.実際に海溝軸周辺では,地震発生前と比べて50 mを超える大きな垂直および水平変位があったことが,地震発生直後の測地や音響測深,反射法地震探査によって観測されている.このような海底の大きな地形変動は,地震時の津波の発生に大きく関与すると考えられる.しかし,海溝底が探査機の到達が困難な水深7000 mを超える超深海にあるため,本当に破壊が地表まで達したのか,達したとしたら具体的にどのような形状や規模の地形変化が海底に生じたのか,という重要な疑問は未解決のままであった.演者らは2022年9月にフルデプスの有人潜水艇DSV Limiting Factorを用いて,当該地震による海底変位量が最も大きかった宮城沖の日本海溝底(水深約7550 m)に潜航し海底を観察する機会を得た.潜航地点は,地震前には平坦な海溝底であり,地震発生直後には東縁に衝上断層を伴う海溝軸に平行な高さ約50 mのリッジ状の地形(スラスト・リッジ)が生じたことが観測されたエリアにある.このスラスト・リッジの東麓から頂部にかけて衝上断層の先端部を横断するようルートを設定し海底の観察とビデオ撮影をしながら航走したところ,東麓の斜面とリッジ頂部の平坦面の境界部に,断層崖と思われる未固結の地層で構成される崖を発見した.当講演では,潜航調査の結果を紹介する予定である.