130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

T16[Topic Session]Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments【EDI】

[2oral512-19] T16[Topic Session]Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments

Mon. Sep 18, 2023 3:00 PM - 5:30 PM oral room 5 (27-North Wing, Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

Chiar:Naoko KITADA, Yoshiyuki TAMURA

5:15 PM - 5:30 PM

[T16-O-19] The composition of Mineral species from human-made strata at Kokubu area Kirishima Kagoshima pref. Japan.

*Hiroshi TAKASHIMA1, Chi Zhang2 (1. Daiichi Institute of Technology, 2. Luoyang Vocational and Technical College)

Keywords:Human-made strata, Dumped Association, Mineral composition, Urban geology, Water cycle

人工地層は人為の働きによって形成される地層と定義される(Nirei et al., 2012).人の地質体への働きかけにより,都市地質の主体は人工地層である.人工地層は、 陸域において形成される盛土アソシエーション(以下,盛土As)と水域だった土地の埋め立てで形成される埋立アソシエーションに区分される(楡井他,1995).都市域において盛土Asは,容易に地形改変が出来る利便性があり,多用されているが,時に堰き止め地形(髙嶋・吉富, 2021)を形成し,水循環に大きな影響を及ぼす場合がある.しかしながら,都市域において主要な地質体であるにも関わらず,地層の岩相や層序の解析が行われることはほとんどない.これは,盛土Asの特性として,開発の範囲や時期が個々に異なり,異なる盛土材が使用あるいは再利用されることにより,形成される盛土Asの岩相は極めて多様で、地層の連続性にも乏しい(Ford et al., 2014)ことが理由の一つと推定される.
 一方,一般に盛土材は,運搬コストより,施工地近傍から入手されることが多い.同一の地質体が連続する地域では,こうした地質体由来の盛土材が使われる機会も多く,岩相的に自然地層類似の人工地層が分布することとなる.こうした地域では,人工地層の確認や人自不整合(楡井他, 1994)の認定が岩相的に大変難しくなるが,岩相による検証はほとんど行われていない.
 鹿児島県霧島市は鹿児島地溝帯(露木, 1969)に位置し,市の中心市街地である国分地区は,国分平野の河川低地,並びに段丘面上に発達する.国分平野周辺には,姶良カルデラから噴出した入戸火砕流堆積物が厚く堆積し,広くシラス台地が形成されている(荒巻, 1969).シラスは掘削が容易で加工・運搬しやすいため,盛り土材として地域で広く利用され,周囲には土取り場もいくつか存在する.あわせて,入戸火砕流堆積物の下位に存在する岩戸火砕流堆積物の土取り場も存在し,概ね2種類の盛り土材が市中で使用されている可能性が高い.そこで,国分平野に形成された盛土Asの層序観察と試料採取を実施し,周辺土取り場から得られる地質試料の粒片観察による鉱物種の構成比や粒度組成を比較して,それぞれの地層体の特性を検討した.
 国分地区の2か所で観察された人工地層と地域に存在する入戸火砕流堆積物及び岩戸火砕流堆積物から得られた鉱物粒子の観察した結果,人工地層と自然地層の鉱物種は極めて類似しており,斜長石,石英,斜方輝石,磁鉄鉱とほぼ同一の鉱物種で構成されることが判明した.また,火山ガラスの形態で区分した種構成も同様の結果であった.ただし,人工地層においては,異地性と考えられる黒雲母の付加が1か所で確認された.また,鉱物/火山灰数の比率を確認したところ,入戸火砕流堆積物と岩戸火砕流堆積物は異なる結果が得られたが,人工地層の鉱物/火山灰数量比は入戸火砕流堆積物の構成比に近い結果が得られた.一方,路盤材の砕石層から得られた鉱物粒子は,セメント由来と推定される物質に一部あるいは全部がコーティングされており,鉱物種の判別つかないものが大半であることが確認された.

荒牧重雄, 1969, 鹿児島県国分地域の地質と火砕流堆積物,地質学雑誌. 75, 425-442.
Ford, J. R., Price, S. J., Cooper, A. H. & Waters, C. N., 2014. An assessment of lithostratigraphy for anthropogenic deposits, A Stratigraphical Basis for the Anthropocene. Geological Society, London, Special Publications, 395, 55-89.
楡井 久,佐藤賢司, 鈴木喜計,古野邦雄, 1994, 環境における地質単元, 地質雑, 100, 425-435.
楡井 久, 鈴木喜計, 佐藤賢司, 古野邦雄, 1995, 地質環境における新しい単元の形成, URBAN KUBOTA 34, 2-9.
Nirei, H., Furuno, K., Osamu, K., Marker, B. & Satkunas, J. 2012. Classification of man made strata for assessment of geopollution. Episodes, 35, 333-336.
露木利貞, 1969, 九州地方における温泉の地質学的研究(第5報) ,鹿児島大学理学部紀要, 85-101.
髙嶋 洋・吉冨邑弥, 2021, 人工地層による堰き止め地形, 第31回社会地質学シンポジウム論文集,59-62.
上野龍之, 2001, 火山灰粒子組成の側方・垂直変化から見た入戸火砕流の堆積機構, 火山, 46, 257-268.