[T6-P-2] Change in mud content of subaqueous debris flow deposits with or without gravel
Keywords:subaqueous debris flow , subaqueous debris flow deposits, mud content, flume experiments
水中土石流から混濁流へと変化する過程で堆積したと考えられるさまざまなパターンの堆積構造が地層から報告されており,流れの挙動とそれがどのように地層へと反映されるのかについて,多くの議論がある.Yokokawa & Yuasa (2023)では,含泥率の高い材料にさらに礫を加えて水中に流し込み,流れの挙動を調べる実験を行った.その結果,礫を少量(5wt%)加えただけで,水中土石流から混濁流へのFlow transformationが起こり,流れの流下速度が40%程度増加することがわかった.このような流れの違いが生じるメカニズムを探るため,本研究では,流れが流下した後に残った堆積物の含泥率を測定した.
実験はIlstad et al. (2004)の実験条件の一つ,水35wt%,粘土32.5wt%,砂32.5%をレファレンスとした.長さ760cm, 幅30cm,高さ120cmの深型堆積用水路に水を張り,その中に長さ700cm, 幅8cm, 高さ50cmのアクリル製の水路を設置した.アクリル製水路の傾斜はIlstad et al.(2004)と同じ6°に設定した.実験に使用した材料は,粘土はカオリンクレー(平均粒径0.4μm),砂は6号硅砂(平均粒径330μm),礫は市販の天然大磯石(3-5mm)である.実験条件はいずれも水35wt%,粘土32.5wt%であり,残る32.5wt%について礫を0wt%,5wt%,15wt%と変化させて,残りを砂にした.上記の材料を攪拌機でよく攪拌し,上流端から供給した.その結果,礫が入ると途中で流れの加速が起こり,7mを流下する時間が大幅に短縮した(礫0%では21秒,5%では15秒,15%では16秒).また,流下後の堆積物の分布も礫の有無によって異なり,礫がある場合はより上流側で堆積した.
水路底に堆積した堆積物の表面直下(表面は ”hemiperagic” な細粒堆積物に覆われるので,その下に分布する分布する流れが流下する過程で堆積したと考えられる部分の最上部)と底面付近の堆積物を採取し,含泥率を測定した.その結果,礫0%では,表面直下より底面付近の方が含泥率が高かった.礫5%では,表面直下と底面付近の含泥率があまり変わらず,礫15%では,表面直下の方が底面付近より含泥率が高い.このことは,礫が入らない場合には,栓流構造がより顕著に発達し,砂の沈降が妨げられるような状態で流下・堆積した,すなわち,流れの加速などが起こりにくい状態であったことを示唆すると考えられる.逆に,礫が入ると,礫の沈降によって,栓流構造がすぐに壊れて,周囲水の取り込みなどが始まりやすいことが予測される.礫5%ではその効果は限定的と考えられるが,礫15%になると,流下開始直後から密度勾配が生じた可能性が示唆される.
引用文献:Ilstad, T. et al., 2004, Marine Geology, 213, 415-438. Yokokawa, M. and Yuasa, N., 2023,Abstract of JpGU2023, H-CG20-O04.
実験はIlstad et al. (2004)の実験条件の一つ,水35wt%,粘土32.5wt%,砂32.5%をレファレンスとした.長さ760cm, 幅30cm,高さ120cmの深型堆積用水路に水を張り,その中に長さ700cm, 幅8cm, 高さ50cmのアクリル製の水路を設置した.アクリル製水路の傾斜はIlstad et al.(2004)と同じ6°に設定した.実験に使用した材料は,粘土はカオリンクレー(平均粒径0.4μm),砂は6号硅砂(平均粒径330μm),礫は市販の天然大磯石(3-5mm)である.実験条件はいずれも水35wt%,粘土32.5wt%であり,残る32.5wt%について礫を0wt%,5wt%,15wt%と変化させて,残りを砂にした.上記の材料を攪拌機でよく攪拌し,上流端から供給した.その結果,礫が入ると途中で流れの加速が起こり,7mを流下する時間が大幅に短縮した(礫0%では21秒,5%では15秒,15%では16秒).また,流下後の堆積物の分布も礫の有無によって異なり,礫がある場合はより上流側で堆積した.
水路底に堆積した堆積物の表面直下(表面は ”hemiperagic” な細粒堆積物に覆われるので,その下に分布する分布する流れが流下する過程で堆積したと考えられる部分の最上部)と底面付近の堆積物を採取し,含泥率を測定した.その結果,礫0%では,表面直下より底面付近の方が含泥率が高かった.礫5%では,表面直下と底面付近の含泥率があまり変わらず,礫15%では,表面直下の方が底面付近より含泥率が高い.このことは,礫が入らない場合には,栓流構造がより顕著に発達し,砂の沈降が妨げられるような状態で流下・堆積した,すなわち,流れの加速などが起こりにくい状態であったことを示唆すると考えられる.逆に,礫が入ると,礫の沈降によって,栓流構造がすぐに壊れて,周囲水の取り込みなどが始まりやすいことが予測される.礫5%ではその効果は限定的と考えられるが,礫15%になると,流下開始直後から密度勾配が生じた可能性が示唆される.
引用文献:Ilstad, T. et al., 2004, Marine Geology, 213, 415-438. Yokokawa, M. and Yuasa, N., 2023,Abstract of JpGU2023, H-CG20-O04.