130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology【EDI】

[2poster26-52] T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology

Mon. Sep 18, 2023 1:30 PM - 3:00 PM T6_poster (Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

[T6-P-24] (entry) Late Moscovian–Kasimovian (late Carboniferous) reef-building biota in the Omi Limestone of the Akiyoshi belt, Southwest Japan

*【ECS】Taku NAKAMURA1, Toshiyuki KURIHARA2 (1. Graduate School of Science and Technology, Niigata University, 2. Department of Geology, Faculty of Science, Niigata University)

Keywords:late Carboniferous, Panthalassa, Akiyoshi belt, atoll-type limestone, calcareous algae

秋吉帯に含まれるパンサラッサ海遠洋域で形成された礁成石灰岩では,その堆積期間中で主要な造礁生物群集が4度変遷したことが明らかになっている(Nakazawa et al., 2015).特に,後期石炭紀Moscovian期~Kasimovian期にかけて,それまで優勢であったサンゴ類・海綿動物chaetetidsからなる後生動物主体の生物礁が衰退し,石灰藻類とTubiphytesが優勢な生物礁へ変化したことは,秋吉帯石灰岩の生物史の中でも大きなイベントであった.
 新潟県糸魚川市に分布する青海石灰岩では,前期石炭紀Visean期~Moscovian期後期の堆積環境と造礁生物の変遷が明らかにされている(中澤,1997;Nakazawa, 2001).Moscovian期中期にはchaetetidsからなる生物礁が発達し,Moscovian期後期になるとHikorocodium (?) sp.,phylloid algaeなどの石灰藻類の生物礁が優勢になるとされる.しかし,寒冷化が激化したとされるMoscovian期後期~Kasimovian期以降の石灰岩の堆積相・生物相については詳細に検討されていない.本研究では,青海石灰岩が分布する糸魚川市黒姫山北麓で掘削されたボーリングコア試料(深度335~220 m)を用い,堆積環境と造礁生物の変遷について考察した.検討区間のコア試料は全て石灰岩で,岩相に基づき,2つのユニットに区分した.試料の年代は,Moscovian期後期~Kasimovian期と推定される.
 Unit A:主に原地性の生物骨格によって形成されたboundstoneが卓越する.こうしたboundstoneには,細粒なバイオクラストを粒子として含むpackstoneを挟在する.年代はMoscovian期後期である.今回,Unit Aを以下の6つのサブユニットに区分した.Unit A1:Hikorocodium (?) sp. rudstoneとbioclastic grainstoneからなる.Unit A2:Hikorocodium (?) sp.–phylloid algal boundstoneが卓越する.Unit A3:層状のchaetetidsがboundstoneを構成する.Unit A4:大規模なHikorocodium (?) sp. boundstoneが含まれる.その他,packstone中に原地性のchaetetids,四射サンゴ類,phylloid algaeが孤立成長している産状がみられる.Unit A5:phylloid algal boundstoneからなる.Unit A6:主にHikorocodium (?) sp. boundstone/rudstoneからなる.
 Unit B:grainstone/rudstoneとpackstone/wackestoneが繰り返し,まれにphylloid algal-Tubiphytes boundstoneおよびTubiphytes boundstoneを含む.年代はKasimovian期である.バイオクラストに富む石灰岩では,下位のUnit Aと異なり,粒子としてTubiphytesのクラストが多量に含まれる.
 両ユニットの岩相から,これらの堆積環境は,Unit Aがラグーン相とラグーン中の生物礁,Unit Bが砂浜相とラグーン相が繰り返す環境であったと推定される.これらの石灰岩は,環礁の形態を呈する礁複合体において,背礁側の堆積環境で形成されたといえる.
 Moscovian期後期に形成されたUnit Aでは,Unit A2,4,6にて原地性と判断できる密集したHikorocodium (?) sp.が観察され,当時の主要な礁形成者であったと考えられる.また,Unit Aにはphylloid algae,chaetetids,四射サンゴ類が含まれており,Hikorocodium (?) sp.のコロニーの近傍に生育していたと推定できる.Kasimovian期に形成されたUnit Bからは造礁生物としてphylloid algaeとTubiphytesが産する.また,Tubiphytesはバイオクラストとして多量に含まれる.そのため,Kasimovian期の青海石灰岩では秋吉石灰岩と同様,phylloid algaeとTubiphytesが繁栄していたと考えられる.
 謝辞:明星セメント株式会社,太平洋セメント株式会社,デンカ株式会社には,ボーリングコア試料の研究に協力いただいた.

文献:
中澤,1997,地質雑.
Nakazawa, 2001, Facies.
Nakazawa et al., 2015, Facies.