[T12-P-7] (entry) Apatite U-Pb dating of dinosaur teeth from the Upper Cretaceous Baynshire Formation in the Gobi Desert, Mongolia
Keywords:Dinosaur, Apatite, U-Pb, Upper Cretaceous
モンゴル国ゴビ砂漠に分布する上部白亜系からは,恐竜を代表とする保存状態の良い脊椎動物化石が産出することが世界的に知られており,約100年前から盛んに研究が行われてきた.しかし,化石が産出する地層は層厚が薄く非常に広範囲に散在しているため,広域的な岩相層序の確立が困難であった.また,その分布域が大陸内陸部に位置することや,大規模な火成活動の影響を受けていないことから,堆積絶対年代値の決定も困難であった.そのため,現在でもモンゴル上部白亜系全域の層序関係や正確な堆積年代は明らかとなっていない.そこで我々のグループは,モンゴルの上部白亜系から比較的採取が容易なカリーチに含まれるカルサイトを用いたU-Pb年代測定法を実施し,地層間対比や年代特定を試みている(Kurumada et al., 2020).しかし,カリーチが存在しない地域も存在するため,脊椎動物の歯化石(アパタイト)を対象としたU-Pb年代測定法に注目した(Tanabe et al., 2023).歯は化石化過程においてヒドロキシアパタイトからフルオロアパタイトに再結晶する際にウランが取り込まれるため, U-Pb年代測定を適用することができる(Sano et al., 2006; Greene et al., 2018; Barreto et al., 2022).一方で歯化石は化石化後に二次的な変質を受けるという問題が存在するが,この変質の程度は化石中のY濃度によりある程度判別ができる(Greene et al., 2018; Tanabe et al., 2023). そこで,本研究ではゴビ砂漠東部に分布する上部白亜系最下部バインシレ層の堆積年代制約のため,同地域から得られた歯化石に対し,Micro-XRFによるYマップ分析から二次的な変質の影響を判別し,その結果をもとにLA-ICP-MSによるアパタイトU-Pb年代測定を試みる. 測定試料については2016年から2022年にかけて実施したゴビ砂漠化石発掘調査で採取した歯化石のうち,比較的大型で保存状態の良好な標本を4点選択した.それらのうち,バインシレ地域から産出した歯化石2点とバイシンツァフ地域から産出した歯化石1点はその形態的特徴として,唇舌側に幅が広いこと,歯冠部に比較的強い横方向の起伏を持つこと,さらには歯の断面がD字型かつ舌側面中央付近に隆起があることが確認され,ティラノサウルス上科がもつ特徴と一致する.残り1点についてはバインシレ地域から発見されたもので,歯冠先端が丸く,断面が円形で単純な形状をしていることから竜脚類の歯化石と考えられる.薄片を作成し観察を行った結果,内部に大きな空隙やクラックはなく,見た目には大きな二次的な変質の影響は確認されなかった. 本発表では,これらの試料に対し行ったYマップ分析と年代測定結果について報告し,モンゴル上部白亜系の層序関係について議論する.
参考文献
Barreto et al., 2020, Journal of South American Earth Science, 116, 103774. Green et al., 2018, Chemical Geology, 493, 1-15. Kurumada et al., 2020. Terra Nova, doi.org/10.1111/ter.12456. Sano et al., 2006, Geochemical Journal, 40, 171-179. Tanabe et al., 2023. Island Arc, doi.org/10.1111/iar.12488.
参考文献
Barreto et al., 2020, Journal of South American Earth Science, 116, 103774. Green et al., 2018, Chemical Geology, 493, 1-15. Kurumada et al., 2020. Terra Nova, doi.org/10.1111/ter.12456. Sano et al., 2006, Geochemical Journal, 40, 171-179. Tanabe et al., 2023. Island Arc, doi.org/10.1111/iar.12488.