[T13-P-1] Modeling seismic wave radiation from quartz vein concentrated zone in Makimine mélange
Keywords: Slow Earthquake, Quartz vein
九州東部に分布する上部白亜系四万十付加体中の槇峰メランジュでは,千枚岩化した泥岩マトリックス中に石英脈が濃集することで特徴づけられる石英脈濃集帯が,厚さ60 m,長さ数100 m以上に渡って観察される(Ujiie et al., 2018).九州東部の槇峰メランジュは,地震発生帯下限側の温度300-350ºC, 深さ10-15kmの暖かい沈み込み帯のプレート境界域で形成されたと考えられている.石英脈はクラックシール組織を有し,泥岩マトリックスの面構造に平行に発達するfoliation-parallel extension vein, 面構造に極低角で斜交するshear vein, 面構造に対して高角に発達するsubvertical extension veinに分類できる.石英析出反応速度式から求めた1回のクラックシールに要する時間は1年程度と短く,静岩圧に近い間隙流体圧環境下で引張破壊と低角逆断層メカニズムを持つ剪断破壊が互いにリンクしながら何度も繰り返して発生していた様子が観察できることから,この石英脈濃集帯は微動の地質学的痕跡である可能性が指摘されている(Ujiie et al., 2018).そこで本研究では,この破壊過程において地球物理学的に観察されるスロー地震のシグナルが生成されうるのかを検討した.石英脈濃集帯形成過程における地震波放出のモデル化は,(1)個々のクラック破壊で生じる地震波と(2)クラック破壊の連鎖の2つの過程のモデル化を組み合わせることで行った.(1)についてはOpenSWPC(Maeda et al., 2017)を用いて3D波動伝播数値計算により,(2)については2Dブラウン運動モデル(Ide & Yabe, 2018)のスロー地震震源移動モデルによりモデル化した.クラックの大きさや数密度など,それぞれのモデル化に必要なパラメーターはできる限りフィールドにおける観察に基づいて設定した.地球物理学的観測においては,スロー地震のシグナルは2-8Hz帯域の地震波で観察される微動,20-100s帯域の地震波で観察される超低周波地震,測地帯域で観察されるスロースリップに分類される.これらのシグナルはプレート境界面断層の剪断変形でおおむね説明することが可能とされている(Ide et al., 2007; Ito et al., 2007; Obara et al., 2004).今回は特に微動と超低周波地震のシグナルについて,モデル化した地震波形と実際に南海トラフで観察される地震波形を比較しながら両者の整合性について検討する.
【引用文献】
Ujiie et al. (2018), https://doi.org/10.1029/2018GL078374
Maeda et al. (2017), https://doi.org/10.1186/s40623-017-0687-2
Ide & Yabe (2018), https://doi.org/10.1007/s00024-018-1976-9
Ide et al. (2007), https://doi.org/10.1029/2006GL028890
Ito et al. (2007), https://doi.org/10.1126/science.1134454
Obara et al. (2004), https://doi.org/10.1029/2004GL020848
【引用文献】
Ujiie et al. (2018), https://doi.org/10.1029/2018GL078374
Maeda et al. (2017), https://doi.org/10.1186/s40623-017-0687-2
Ide & Yabe (2018), https://doi.org/10.1007/s00024-018-1976-9
Ide et al. (2007), https://doi.org/10.1029/2006GL028890
Ito et al. (2007), https://doi.org/10.1126/science.1134454
Obara et al. (2004), https://doi.org/10.1029/2004GL020848