130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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Session Oral

T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology【EDI】

[3oral201-11] T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology

Tue. Sep 19, 2023 8:45 AM - 12:00 PM oral room 2 (4-21, Yoshida-South Campus Bldg. No 4)

Chiar:Dan Matsumoto(AIST/GSJ)

9:15 AM - 9:30 AM

[T6-O-21] Changes in subaqueous debris flow with or without gravel

*【ECS】Yuto KANEZAKI1, Hiroshi KIYOSATO1, Akihiro SHODA1, Noriyuki YUASA1, Miwa YOKOKAWA1 (1. Osaka Institute of Technology)

Keywords:subaqueous debris flow, turbidity current, gravel, flume experiment

水中土石流や混濁流などの水中重力流は,重要な土砂輸送現象であるとともに,海底インフラに重大な影響を及ぼす.また,地層の水中重力流の堆積物では水中土石流から混濁流へと変化する過程で堆積したと考えられるさまざまなパターンの堆積構造が報告されており,流れの挙動とそれがどのように地層へと反映されるのかについて,多くの議論がある.Yokokawa & Yuasa (2023)では,含泥率の高い材料にさらに礫を加えて水中に流し込み,流れの挙動を調べる実験を行った.その結果,礫を少量(5wt%)加えただけで,流れの性質が変化し,流れが途中で加速する現象が起こることがわかった.本研究では,流れの厚さなど流れの性質が礫の含有量によってどのように変化するかを観察し,堆積物の分布との比較を行った.
 実験はIlstad et al. (2004)の実験条件の一つ,水35wt%,粘土32.5wt%,砂32.5%をレファレンスとした.長さ760cm, 幅30cm,高さ120cmの深型堆積用水路に水を張り,その中に長さ700cm, 幅8cm, 高さ50cmのアクリル製の水路を設置した.アクリル製水路の傾斜はIlstad et al.(2004)と同じ6°に設定した.実験に使用した材料は,粘土はカオリンクレー(平均粒径0.4μm),砂は6号硅砂(平均粒径330μm),礫は市販の天然大磯石(3-5mm)である.実験条件はいずれも水35wt%,粘土32.5wt%であり,残る32.5wt%について礫を0wt%,5wt%,15wt%と変化させて,残りを砂にした.上記の材料を攪拌機でよく攪拌し,上流端から供給した.その結果,礫が入ると途中で流れの加速が起こり,7mを流下する時間が大幅に短縮した(礫0%では21秒,5%では15秒,15%では16秒).また,流下後の堆積物の分布も礫の有無によって異なり,礫がある場合はより上流側で堆積した.
 流れの流下過程を観察すると,礫なしの場合は試料投入直後の流れの厚さが薄く,薄いヘッドがある程度流下してから周囲水の取り込みが始まるのに対し,礫を加えると,試料投入直後から周囲水の取り込みが始まり,流れの厚さが比較的厚いことがわかった.流れの流下後の堆積物の含泥率(清里ほか,2023)や砂礫の分布(正田ほか,2023)と比較すると,礫がない場合は,栓流構造が保たれたままある程度の距離を流下するのに対し,礫が入ることによって,礫の沈降によって栓流構造が壊れ,周囲水の混入によって流れの粘性が下がって,流下速度が上昇する可能性が考えられる.
 礫が混じることによって水中重力流の速度が大きくなることは,重力流発生地点付近に礫の供給がある場合は重力流の影響を過小評価しないように注意する必要性を示唆している.

引用文献:Ilstad, T. et al., 2004, Marine Geology, 213, 415-438. 清里弘志ほか,2023,本大会講演要旨.正田陽宏ほか,2023,本大会講演要旨.Yokokawa, M. and Yuasa, N., 2023,Abstract of JpGU2023, H-CG20-O04.