130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

Presentation information

Session Oral

T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology【EDI】

[3oral201-11] T6[Topic Session]Latest Studies in Sedimentary Geology

Tue. Sep 19, 2023 8:45 AM - 12:00 PM oral room 2 (4-21, Yoshida-South Campus Bldg. No 4)

Chiar:Dan Matsumoto(AIST/GSJ)

9:45 AM - 10:00 AM

[T6-O-23] Forearc and backarc basin-filling trend typification and its major controls of tectonic cycles, depositional systems and sequences

*Osamu Takano1 (1. JAPEX Research Center)

Keywords:forearc basin, backarc basin, inverted rift basin, depositional system, tectonic cycle

<はじめに> 堆積盆を埋積する堆積システムの種類,累重パターン,サイクル性などの埋積様式は,どのような要因によって規制されるのであろうか。その規制要素はどのような階層性(主要因,副要因)があるのであろうか。これらの様式は堆積盆タイプによってどのような違いがあるのであろうか。本研究では,東北日本弧,西南日本弧周辺に発達する「前弧堆積盆」および背弧堆積盆のうちの「反転リフト堆積盆」について,上記の規制要素の検討を行った。
<前弧堆積盆> 前弧堆積盆については,石狩空知堆積盆,石狩夕張堆積盆,蝦夷堆積盆,三陸沖堆積盆,常磐沖堆積盆,房総堆積盆,東海沖堆積盆,熊野灘堆積盆,宮崎沖堆積盆(Takano, 2017)を事例として検討を行った。前弧堆積盆では,プレート沈み込みに伴う付加体の形成による外縁隆起帯(trench slope break:以下TSB)の成長が長周期のテクトニックサイクルを支配するとともに,プレート運動の変化に起因して形成される不整合面を境にした中長周期のテクトニックサイクルも形成されている。TSB未発達時には斜面タイプの断面形態を主体とし,砕屑物供給が少ない場合には泥質斜面,多い場合にはスロープエプロンシステムが発達する。TSBが発達するにつれて海盆状形態を呈し,砕屑物供給が多い場合には海盆中に海底扇状地もしくはトラフ充填タービダイトシステムが発達する。さらにTSBが発達してリッジを形成し,なおかつ砕屑物供給が多い場合には,前弧堆積盆は埋め立てられて(benched, shelved forearc: Dickinson, 1995),内湾〜河川システムが主体となる。このタイプは島弧より陸弧の前弧である場合に形成されやすい。この埋立てリッジタイプの前弧は,プレート運動の変化(構造侵食の開始など)によって,斜面タイプに変化してテクトニックサイクルが再開始することがある(Takano, 2017)。前弧堆積盆に発達する堆積シーケンスは,TSB発達に伴うテクトニックサイクルおよび不整合面で挟まれたテクトニックサイクルより短周期のサイクルであり,堆積速度が速ければ,氷河性海水準変動に対応して,遅ければ,いくつかの複合要因に反応して堆積シーケンスが形成されている(Takano et al., 2013; Takano, 2017)。
<背弧反転リフト堆積盆> 背弧反転リフト堆積盆については,新潟〜信越堆積盆,秋田堆積盆,島根堆積盆に対して検討を行った。Retroarc foreland basin的に,背弧側に典型的に発達する反転リフト堆積盆は,急速沈降のsyn-rift期→緩慢沈降のポストリフト期→構造反転期の変化をもって,ひとつの長周期テクトニックサイクルを形成している。syn-rift期からポストリフト期にかけては,堆積速度に対して堆積空間形成速度が速いため,泥質な深海システムへのretrogradationalな累重様式を基本とするが,ポストリフト初期〜中頃の後背地での圧縮の開始によって,海底扇状地システムの発達によるaggradationalな累重様式も見られる。構造反転期には,圧縮の強化により,後背地からの砕屑物供給の増加と,堆積盆内沈降域の限定化や隆起による堆積空間増加量の減少によって,progradationalな累重様式が主体となり,浅海〜河川システムによる埋積が盛んになる。これらのsyn-rift期→ポストリフト期→構造反転期と変化するテクトニックサイクルの上に乗る形で,より短周期の3次〜4次〜5次オーダー堆積シーケンスが形成されており,それぞれが個々の海進海退サイクルを形成している(Takano, 2002)。
<まとめ> 前弧堆積盆の場合も,背弧反転リフト堆積盆の場合も,より長周期で強振幅のテクトニックサイクルが存在し,それに応じた堆積盆形状や砕屑物供給の状況によって堆積システムが決定されている。長周期テクトニックサイクルの上に乗る形で,より短周期の堆積シーケンスが形成されている。
<文献> Dickinson, W.R., 1995, In Tectonics of Sedimentary Basins, Blackwell, 221-261; Takano, O., 2002, Sediment. Geol., 152, 79-97; Takano, O., 2017, In Dynamics of Arc Migration and Amalgamation, InTech, 1-24; Takano, O. et al., 2013, In Mechanism of Sedimentary Basin Formation: Multidisciplinary approach on active plate margins, InTech, 3-25.