[T5-P-11] The Philippine Sea slab window beneath Hokuriku region and mantle flow
Keywords:Philippine Sea plate, anisotropy
日本列島下に沈み込むフィリピン海プレートは、中国・九州地方では深さ400 km付近までその存在が追跡されている(例えば Zhao et al. 2012)が、北陸地方をはじめとする中部日本下においては約140 kmまでしか形状が決定されておらず、スラブの沈み込みに大きな東西非対称が存在していた。ところが最近の研究により北陸地方下にも深さ約250 km程度まで沈み込むフィリピン海スラブが存在することが示された(Miyazaki et al. 2023)。加えて北陸地方の下に部分的にスラブが存在しないスラブウィンドウが形成されていることも明らかになってきた。
スラブウィンドウはトロイダルなマントル流を励起することがいくつかの沈み込み帯研究から知られており(例えば Zandt and Humphreys 2008; Asamori and Zhao 2015)、北陸地方下のマントル流もスラブウィンドウの影響を受けている可能性がある。そこで本研究では地震波を用いてS波のスプリッティング解析を行い、中部日本下のマントル異方性を調べた。
解析の結果、日本海沿岸部地域(能登~新潟県)では北西南東方向に速い軸を、内陸部(岐阜県~長野県)ではほぼ南北~やや北東南西に速い軸を、東海地域(三重県~愛知県)でははほぼ東西方向に速い軸を持ち、地域的に異なる異方性を示すことがわかった。日本海沿岸部と東海地方の異方性は直下の太平洋プレートの最大傾斜方向とおおむね一致しており、太平洋プレート沈み込みに関連するリターンフロウを反映していると解釈される。一方で内陸部の異方性はいずれとも異なる。
内陸部の異方性の原因は定かでは無いが、もしスラブウィンドウに関連する対流を反映している場合、スラブウィンドウを通じて深部からの熱、物質輸送が起きている可能性がある。シミュレーション研究からスラブウィンドウの形成は約3Maに始まったことが示唆されているため、この領域におけるフィリピン海プレート沈み込み様式の変化と地質学的情報に記録される最近3Myrの地形変動・火山活動との比較を行うことでスラブウィンドウをキーワードとした北陸地方のテクトニクスについて議論する。
スラブウィンドウはトロイダルなマントル流を励起することがいくつかの沈み込み帯研究から知られており(例えば Zandt and Humphreys 2008; Asamori and Zhao 2015)、北陸地方下のマントル流もスラブウィンドウの影響を受けている可能性がある。そこで本研究では地震波を用いてS波のスプリッティング解析を行い、中部日本下のマントル異方性を調べた。
解析の結果、日本海沿岸部地域(能登~新潟県)では北西南東方向に速い軸を、内陸部(岐阜県~長野県)ではほぼ南北~やや北東南西に速い軸を、東海地域(三重県~愛知県)でははほぼ東西方向に速い軸を持ち、地域的に異なる異方性を示すことがわかった。日本海沿岸部と東海地方の異方性は直下の太平洋プレートの最大傾斜方向とおおむね一致しており、太平洋プレート沈み込みに関連するリターンフロウを反映していると解釈される。一方で内陸部の異方性はいずれとも異なる。
内陸部の異方性の原因は定かでは無いが、もしスラブウィンドウに関連する対流を反映している場合、スラブウィンドウを通じて深部からの熱、物質輸送が起きている可能性がある。シミュレーション研究からスラブウィンドウの形成は約3Maに始まったことが示唆されているため、この領域におけるフィリピン海プレート沈み込み様式の変化と地質学的情報に記録される最近3Myrの地形変動・火山活動との比較を行うことでスラブウィンドウをキーワードとした北陸地方のテクトニクスについて議論する。