[T15-P-32] An attempt to visualize of the 1847 Zenkoji Earthquake surface fault in the Nagano city area by rayleigh wave exploration
Keywords:Rayleigh Wave Exploration, Earthquake Surface Faults, 3D Ground Mode
1.はじめに
1847年5月8日に発生した善光寺地震における地表地震断層に関する研究については,杉戸(2014)にまとめられているが,長野市中心市街地においては,トレンチ調査や物理探査手法を用いた調査は行われていない.既往研究成果(中川ほか,2019)では,1847年善光寺地震によって地表で床違い(段差)が生じた(杉戸,2014)とされる地点を横断する測線を含む1847年善光寺地震による推定変位地形周辺の複数測線でレイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位が得られた.本論では,断層運動で生じたと推察される地層の変位等の地下構造を可視化すべく,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,立体的な把握に努めた.
2.複数地点でのレイリー波探査(表面波探査)結果の整理
中川ほか(2019)では,南北に延びると推察される地表地震断層による推定変位地形に対し,東西及び南北に複数の測線を設定し,レイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位を得た. 本論では,その結果を用いて,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,地下構造の立体的な把握(可視化)に努めた.
3.解析結果
現地表付近にまで到達する西側隆起の複数の速度層の変位が確認されるような解析結果が南北方向に連続し,複数確認されることが明らかとなった.これは,断層運動に伴って形成されたと考えられる撓曲構造の存在を示唆するものであり,長野盆地西縁断層帯が西側隆起の逆断層帯である(赤羽,1982 ,Okada and Ikeda,2012など)ことと一致している.準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築することで,地下構造の可視化が容易となり,身近な地域の都市地盤に潜む災害の爪痕の理解への一助となるものと考える.
謝辞
本論の現地調査にあたっては,長野県長野高等学校の生徒・教職員の皆さんにご協力いただきました.また,信州大学教育学部廣内大助教授,竹下欣宏准教授には,調査方針および調査結果の検討において貴重な助言をいただきました.本研究は,平成29・30・令和元年度長野県学校科学教育奨励基金および令和2年度長野県科学研究費助成金を利用しました.ここに記して感謝申し上げます.
引用文献
中川ほか:レイリー波探査を用いた長野市街地における1847年善光寺地震の地表地震断層の把握への試み,日本地質学会第126年学術大会,pp.217,2019.
杉戸:1847年善光寺地震の地表地震断層に関する既存資料の整理,法政大学人間環境学会人間環境論集,pp.171-194,2014.
赤羽:長野盆地西縁部における地質構造と丘陵の形成過程.島弧変動,地団研専報,24:169-179, 1982.
Okada and Ikeda:JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCH, VOL. 117, B01404, doi:10.1029/2011JB008355,2012
1847年5月8日に発生した善光寺地震における地表地震断層に関する研究については,杉戸(2014)にまとめられているが,長野市中心市街地においては,トレンチ調査や物理探査手法を用いた調査は行われていない.既往研究成果(中川ほか,2019)では,1847年善光寺地震によって地表で床違い(段差)が生じた(杉戸,2014)とされる地点を横断する測線を含む1847年善光寺地震による推定変位地形周辺の複数測線でレイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位が得られた.本論では,断層運動で生じたと推察される地層の変位等の地下構造を可視化すべく,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,立体的な把握に努めた.
2.複数地点でのレイリー波探査(表面波探査)結果の整理
中川ほか(2019)では,南北に延びると推察される地表地震断層による推定変位地形に対し,東西及び南北に複数の測線を設定し,レイリー波探査を実施し,複数の撓曲構造の存在を示唆する速度層の変位を得た. 本論では,その結果を用いて,準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築し,地下構造の立体的な把握(可視化)に努めた.
3.解析結果
現地表付近にまで到達する西側隆起の複数の速度層の変位が確認されるような解析結果が南北方向に連続し,複数確認されることが明らかとなった.これは,断層運動に伴って形成されたと考えられる撓曲構造の存在を示唆するものであり,長野盆地西縁断層帯が西側隆起の逆断層帯である(赤羽,1982 ,Okada and Ikeda,2012など)ことと一致している.準3次元地盤モデル(パネルダイヤグラム)を構築することで,地下構造の可視化が容易となり,身近な地域の都市地盤に潜む災害の爪痕の理解への一助となるものと考える.
謝辞
本論の現地調査にあたっては,長野県長野高等学校の生徒・教職員の皆さんにご協力いただきました.また,信州大学教育学部廣内大助教授,竹下欣宏准教授には,調査方針および調査結果の検討において貴重な助言をいただきました.本研究は,平成29・30・令和元年度長野県学校科学教育奨励基金および令和2年度長野県科学研究費助成金を利用しました.ここに記して感謝申し上げます.
引用文献
中川ほか:レイリー波探査を用いた長野市街地における1847年善光寺地震の地表地震断層の把握への試み,日本地質学会第126年学術大会,pp.217,2019.
杉戸:1847年善光寺地震の地表地震断層に関する既存資料の整理,法政大学人間環境学会人間環境論集,pp.171-194,2014.
赤羽:長野盆地西縁部における地質構造と丘陵の形成過程.島弧変動,地団研専報,24:169-179, 1982.
Okada and Ikeda:JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCH, VOL. 117, B01404, doi:10.1029/2011JB008355,2012