一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

優秀ポスター

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一般部門

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場(5F講習室1) (5F 講習室1)

[優秀P一般-3] 小型筋電センサーシステムの摂食嚥下障害患者への臨床応用の可能性

○吉岡 裕雄1,2、山田 裕之2、田村 文誉2、關 達也4、菊谷 武2,3 (1. 日本歯科大学新潟病院訪問歯科口腔ケア科、2. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、3. 日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学、4. 株式会社メルティンMMI )

【目的】
 摂食嚥下リハビリテーションにおける間接訓練は,障害を受けた器官へ特異的に働きかけることにより,機能や協調性を改善させるものである。機能改善には継続的な実施が必要であるが集中的に行っても訓練の効果がない場合には,その内容や強度,手技の確認が必要となる。また検査結果等によっては,バイオフィードバックを行いながら訓練を行うことでより効率的に効果が得られる報告も散見される。今回,小型の筋電センサーを頭頸部に応用し,健康成人と摂食嚥下障害を主訴に当院外来受診した患者に対して特定の運動をさせ筋電図を計測し比較することで,機器の摂食嚥下障害患者への臨床応用の可能性について検討することを目的とした。
【方法】
 健康成人5名と摂食嚥下障害を主訴に当院に来院した患者5名を対象に,顎運動,舌運動,嚥下運動時の筋電図をメルティンMMI社製小型筋電センサーを用いて計測した。データ解析は波形解析,信号強度,周波数解析を行った。
【結果と考察】
 摂食嚥下障害患者では,顎運動・舌運動に関し健康成人と同様の筋電波形が得られるが,筋発揮の強度は全体的に弱く症例によっては左右差も確認された。嚥下運動に関しては筋発揮するタイミングがあるものの協調性のない波形であった。本研究で使用した筋電センサーは,小型のため頭頸部の運動を妨げることなく,かつ電極を貼り替えることなく複数の筋肉活動を複合的に解析できるため,口腔周囲筋の特定の動作における評価が可能であった。口腔周囲筋の運動に対して健康成人の筋電波形と比較することで,筋活動の左右差や強度,協調性などを評価できる可能性が示唆された。今後,正しい訓練動作を行うためのバイオフィードバックへの応用なども期待できる。