一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

認定医審査ポスター

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2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-10] 欠損補綴が無歯顎高齢者の食品と栄養素摂取に与える影響

○金澤 学1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【目的】
 無歯顎高齢者に対する欠損補綴が食品と栄養素摂取量に与える効果は明らかではない。本研究では無歯顎高齢者に対して,異なる3種類の介入方法が食品および栄養素摂取量に与える影響を検討した。
【対象および方法】
 参加者は全部床義歯新製+食事指導群(CD+食事指導群)20名,全部床義歯新製群(CD群)20名,インプラントオーバーデンチャー新製群(IOD群)20名として,3群間の比較を行った。アウトカムは食品と栄養素摂取量とし,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いて評価した。また,アウトカムの評価は介入前後の2回行った。統計解析はそれぞれの群間において,介入前の食品および栄養素摂取量を共変量とした共分散分析を行い,Bonferroni法による多重性調整を行った。
 本研究は東京医科歯科大学歯学系倫理審査委員会の承認を得て行った。(第1144号,第1162号)
【結果と考察】
 介入後において,CD+食事指導群はCD群と比較して,タンパク質(p=0.048)・マグネシウム(p=0.003)・ビタミンB1(p=0.023)などを,IOD群と比較してカルシウム(p=0.046)・ビタミンD(p=0.023)・魚介類(p=0.027)を有意に多く摂取していた。IOD群はCD群と比較して,ビタミンB1(p=0.030)・肉類(p<0.001)を有意に多く摂取していた。これらのことから,欠損補綴のみではなく,欠損補綴に加えて食事指導行うことにより,無歯顎高齢者の食品および栄養素摂取量を最も改善可能であることが明らかになり,補綴と栄養面の両方向からのアプローチが重要であることが示唆された。