The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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Fri. Jun 22, 2018 9:50 AM - 4:50 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-25] 精神発達遅滞の胃瘻造設患者に対し施設協力歯科医師および施設職員との連携により経口摂取へ移行できた症例

○荒川 裕子1 (1. 日本大学歯学部摂食機能療法学講座)

【緒言】
 精神発達遅滞胃瘻造設患者に対する摂食機能訓練や食物摂取方法の依頼を受け,施設協力歯科医師と施設職員に協力を仰ぎ,経口摂取が可能となった一例を報告する。
【症例および指導内容】
 初診時(平成24年7月)63歳の男性で,特別養護老人施設入所直後であった。精神発達遅滞があり平成8年,21年に脳出血を発症し胃瘻を造設,経管栄養管理のみだったが,平成23年には2度の誤嚥性肺炎を発症していた。口腔内に要治療歯はなく,発話は乏しく著しい湿性嗄声がみられた。要介護3,ADL部分介助,ひらがな表記や簡単な単語であれば一部理解可能であった。嚥下内視鏡検査では安静時に慢性的な唾液誤嚥があり,ゼリーは不顕性誤嚥であったが,とろみ水は摂取可能であったためとろみ水から直接訓練を開始とした。施設職員にとって初めての試みで強い不安があったので施設負担が少なくリスクの低いとろみ水3口からとした。喉頭部の感覚低下に対し直接訓練前後は発声訓練と喀痰を必ず行う事を習慣づけるにあたり,本人が拘りで携帯しているティッシュボックスに訓練内容を記載し,施設職員と一緒に行うこととし,協力歯科医師には口腔衛生管理をお願いした。
【結果・考察】
 経口摂取を開始後徐々に口腔機能と食事動作が向上し,1年後にはソフト食を摂取,現在も湿性嗄声を認め喉頭部の感覚低下はあるが誤嚥性肺炎の発症はなく,夕食のみ施設の事情により水分摂取は胃瘻注入しているが,他は米飯,常食摂取となった。定期的なカンファレンスにより情報を共有し,施設職員の不安軽減,疑問解消に努めた結果,ハイリスクな患者を経口摂取可能に導いたと考える。