一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-010] 在宅高齢者のオーラルディアドコキネシスに関連する歯科学的要因
―咬合に着目して―

○原 修一1、川西 克弥2、豊下 祥史2、佐々木 みづほ2、三浦 宏子3、越野 寿2 (1. 九州保健福祉大学保健科学部言語聴覚療法学科、2. 北海道医療大学歯学部咬合再建補綴学分野、3. 国立保健医療科学院国際協力研究部)

【目的】
 在宅高齢者のオーラルディアドコキネシス(ODK)に関連する歯科学的要因に関する研究は少ない。我々は,ODKと咬合との関連性について検討した。
【方法】
 対象は,北海道内に在住する高齢者130名,平均年齢74.9±6.7歳。ODK/pa//ta//ka/は,ICレコーダーに録音し,音響分析ソフトにて回数を測定した。咬合関連要因として,残存歯数,義歯の有無,咬合支持数,咬合分類,咬合接触面積,咬合力を,その他関連要因として,Body Mass Index(BMI)とMini-Mental State Examination(MMSE)による認知機能を調査した。各ODKの回数を,平均値−1標準偏差で2群(低下群・維持群)に分け,単変量解析として咬合等関連要因の比較を行った。また,年齢,性別,BMI,MMSE得点を共変量として,関連要因を重回帰分析に投入し,ODKの維持低下に関わる要因を分析した。
【結果】
 すべてのODKの低下群は,残存歯数と咬合支持数の有意な減少を認め,宮地の咬合三角においてはD領域の者を多く認めた。また,/pa/の低下群では咬合接触面積の減少と咬合力の低下を,/ta/の低下群では,咬合接触面積の減少を有意に認めた。重回帰分析の結果,残存歯数は,すべてのODKにおける決定要因であった。
【考察】
 我々は,在宅高齢者のODKと歯の治療や歯周病との有意な関連性を報告している(IAGG2017,他)。本研究の結果は,残存歯数の減少による咬合支持力の低下が,ODK回数の減少に影響することを示唆しており,高齢者の咬合の維持は,構音・コミュニケーション能力の維持につながることが考えられた。