The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-101] 顎骨壊死患者に対する在宅訪問歯科衛生士の関わり
―在宅生活を支援するための多職種連携―

○岸 さやか1、板橋 志保1,2、佐藤 はるみ1、岡橋 美奈子1、伊藤 勢津子1,2、駒井 伸也2、宮田 英樹2、菅野 和彦2、小牧 健一朗2、川俣 富貴子2、駒形 守俊2 (1. (一社)仙台歯科医師会 在宅訪問・障害者・休日夜間歯科診療所、2. (一社)仙台歯科医師会)

【目的】
 骨吸収抑制薬剤関連顎骨壊死(ARONJ)は,患者のQOLに大きく影響する有害事象であるが,特に在宅療養中の患者に対する対処法は確立されていない。
 今回,在宅訪問歯科衛生士としてARONJ患者の治療に関わった経験を報告する。
【症例】
 患者:初診時77歳,女性。初診日:2015年8月。現病歴・既往歴:甲状腺癌,多発骨転移,下顎骨壊死。生活背景:要介護1,独居,がん性疼痛により頻繁な通院は困難。主訴:某大学病院より定期的に口腔内洗浄を受けるよう言われた。口腔内所見:下顎右側小臼歯部にARONJに伴う排膿を認める。
【結果と考察】
 当初2~3週ごとの診察を予定し訪問を開始。その後下顎右側に壊死骨が露出し始め,2016年1月には外歯瘻を形成。この時点では患者は口腔外科外来受診を希望せず,訪問での口腔洗浄を継続した。しかし病状はさらに進行,同年4月に某大学病院口腔外科受診を再開。相談の上5月から介護保険を利用しての高頻度介入を開始,歯科衛生士による専門的口腔ケア,通所職員への指導,食形態の相談等主体的に関わるようになる。しかし経過は芳しくなく,翌2017年4月には下顎骨体部の骨折により入院。在宅療養を続けるため大学病院主治医等の他職種とカンファレンスを持つなど対応に苦慮している。現在も病状は進行中だが,QOL維持を目標に週に1~2回の訪問を継続している。
 ARONJを抱えながら在宅療養する患者を支援するには,病状への理解と多職種間の支援目標の統一が重要である。他職種と密に連絡を取り合うことで信頼関係を構築し,患者の思いを尊重した多角的支援環境を整えることが,ADLを向上させ病状の悪化や進行予防に大きく影響すると考える。