The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-118] 当院における歯科衛生士の取り組み
―第2報 胃がん治療中の歯科訪問診療患者の1例―

○青木 綾1、日吉 美保1、吉浜 由美子1、渡辺 八重1、渡辺 真人1 (1. 医療法人社団健由会さくら歯科医院)

【目的】
 当院では介護予防の観点からプレフレイルの状態より定期的口腔衛生管理を行う目的で通院による高齢者歯科診療を行っている。今回,胃がんにより通院が途絶えた患者に対し歯科医師による早期機能回復と並行して訪問による口腔衛生管理により『食の確保』に向け取り組んだ症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 74歳男性。独居。現症:胃がん(噴門部)。現在歯26歯。上下局部床義歯使用。咬合状態は開咬であり歯周治療を主として2017年3月までは定期的口腔衛生管理を通院にて行っていた。
 来院が途絶えた2017年9月包括支援センターより胃がんのため在宅療養中通院不可との連絡あり『むし歯で咬めない』という主訴のもと歯科訪問診療を開始した。訪問開始時の食事は軟食。食道にも転移しておりステント治療にて食道を広げ食物が通過できるようにしたとのことであるが固形のものを摂取せず,氷砂糖を毎日食べていたとのこと。歯冠崩壊歯多数であり咬合できず,以前の義歯は使用できない状態であった。歯周組織は全顎歯肉に疼痛・発赤・腫脹を認め,セルフケアを行わず歯垢が厚く付着していた。歯科医師によるう蝕処置および義歯新製による咬合機能回復と並行して,歯冠崩壊によりセルフケアの方法がわからず放置していた口腔の衛生指導および専門的口腔衛生管理を開始した。
【結果および考察】
 介入により口腔衛生管理に関しての動機付けもでき徐々に歯周組織の改善もうかがえ,義歯装着による固形物の経口摂取を少しずつ行った。定期的に専門的口腔衛生管理を提供していた関係で,訪問診療に移行した際にも円滑に『食の確保』への取り組みが可能であった。今後も介護予防目的での歯科診療提供を継続する所存である。