一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-120] 当会高齢者専門外来における歯科衛生士の取り組み
―第3報 口腔内写真を用いた口腔衛生指導に関して―

○棚橋 亜企子1、高橋 恭子1、吉浜 由美子1、似鳥 純子1、日吉 美保1、矢ヶ崎 和美1、若尾 美知代1、石田 彩1、佐藤 園枝1、小野 洋一1、野村 勝則1、菊地 幸信1、渡辺 真人1、鈴木 聡行1 (1. 公益社団法人藤沢市歯科医師会)

【目的】
 当会では要介護高齢者への搬送による歯科診療提供を行っている。高齢による意欲低下によりセルフケア困難となりう蝕や歯周疾患による口腔崩壊を起こし来院するケースも少なくない。今回動機づけ目的に口腔内写真を用いセルフケア自立に向け歯周組織の改善を図った症例を経験したので報告する。
【症例及び経過】
 84歳男性。要介護1。既往歴:腎不全,糖尿病,脳梗塞。下肢浮腫により歩行不可。車椅子にて通院。現在歯16歯。2015年11月初診。『ものが咬めない・歯を抜きたくない』という主訴のもと診療開始した。刷掃の習慣はなくう歯多数により咀嚼機能障害を起こしており,歯科医師によるう蝕処置・抜歯および義歯新製による咬合機能回復と並行して,専門的口腔衛生管理および手指の麻痺等がないためセルフケアの自立に向けた口腔衛生指導を開始した。
【結果】
 義歯による欠損補綴治療が現在歯保存への動機づけとなり刷掃の習慣がつき,手鏡による確認を行うことでの唇・頬側歯面刷掃は良好になり,歯周組織の改善が得られた。舌側の刷掃に関しての変化はなく,手鏡の欠点を解消する目的に口腔内写真を用い動機づけを行った。
 口腔内写真をPCに拡大投影し患者本人及び介護者にも説明し刷掃状態の確認を行った。刷掃のポイントとなる部分はプリントアウト後持ち帰ってもらい意識化を促した。PCに保存管理することで経時的な変化を説明でき,患者の刷掃意識を高い状態に維持し刷掃道具・刷掃法等の特別な指導をせず,専門的口腔衛生管理もあいまって歯周組織の改善が得られ現在も維持している。
【まとめ】
 今回患者の口腔内写真を用いセルフケア自立に向けた症例を経験した。今後も高齢者に対し同様の支援をしていく所存である。