The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-020] 食道癌術後の重度咀嚼嚥下障害と口腔機能低下に対して集約的に多職種支援を行った一例

○坂本 仁美1、松尾 浩一郎2、藤田 未来1、鬼頭 紀恵2、大島 南海2、鈴木 瞳1、田村 茂3、岡本 美英子2、谷口 裕重2 (1. 藤田保健衛生大学病院歯科・口腔外科、2. 藤田保健衛生大学医学部歯科・口腔外科、3. 藤田保健衛生大学病院看護師部)

【目的】
 今回我々は,術後に重度の口腔機能低下と咀嚼嚥下障害を生じた食道癌患者に対して多職種連携チームで対応し,口腔機能と嚥下機能の改善を認めた症例について報告する。
【症例】
 66歳男性。胸部食道癌に対し鏡視下食道切除術が施行された。既往に右被殻出血,左片麻痺があった。
【経過】
 術後,主科から摂食嚥下チームに摂食機能評価の依頼があった。術15日後の初回嚥下内視鏡検査(VE)では左声帯麻痺を認め,濃いとろみ2mlでも不顕性に誤嚥し,重度の嚥下障害と診断された。その後言語聴覚士(ST)と歯科衛生士(DH)による間接訓練が開始された。術22日後のVEでは筋力の増強を認めSTによる昼1回のペースト食での直接訓練,DHによる間接訓練となった。術27日後に実施した口腔機能評価は舌圧27.3kPa,咬合力99.6Nと口腔機能低下を認め,咀嚼嚥下開始食品8gを使用した咀嚼機能評価は咀嚼回数70回と延長していた。術34日後のVEで更なる嚥下機能の改善が認められ,看護師,STの介助下でペースト粒あり食3食経口摂取となった。DHによる間接訓練も継続した。術44日後の嚥下造影検査で咀嚼を要すコンビーフの咀嚼嚥下も可能であったため,食形態は咀嚼調整食まで引き上げられた。術48日後の口腔機能評価では舌圧30.8kPa,咬合力1537.5N,咀嚼機能評価は咀嚼回数25回と改善していた。その後,食形態は段階的に軟菜食まで改善し術57日後に転院となった。
【考察】
 術前から廃用を伴う術後の重度咀嚼嚥下障害と口腔機能低下に対し多職種連携による術後の集約的なリハビリテーションにより口腔機能と嚥下機能が改善し,食形態も常食に近い形態まで改善することができた。