一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-022] 舌苔付着の主観評価と舌背細菌数の関係

新屋 俊明1、○西 恭宏2、中村 康典3 (1. 独立行政法人国立病院機構都城医療センター歯科・口腔外科、2. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔顎顔面補綴分野、3. 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター歯科・口腔外科)

【目的】
 周術期口腔機能管理(以下口腔管理)の実施時に,患者の口腔内状況等の各種記録と検査を行っている。口腔管理の目的の一つは誤嚥性肺炎のリスク軽減であり,そのためには舌苔の除去を含む口腔清掃指導が重要と考えられている。このため舌の衛生状態の評価として,舌苔の主観評価と舌背細菌レベル,舌背細菌数について,年齢,性別,生活習慣,口腔清掃習慣,口腔内状態,疾患種別を加えて検討したので報告する。
【方法】
 対象は,都城医療センターにおける平成24年4月から平成29年3月までの口腔管理実施患者1,655名(男性1,034名,女性621名,平均年齢69.9歳)とした。口腔管理開始時の周術期口腔機能管理計画書より,年齢,性別,歯磨き回数,喫煙の有無,義歯使用の有無,舌苔の付着程度,電子カルテより治療対象疾患,X線診査結果より喪失歯数を抽出した。なお舌背細菌レベル,舌背細菌数測定は細菌カウンタ®(パナソニックヘルスケア)を用いて昼食前もしくは夕食前に行い,統計学的分析にはIBM SPSS Statistics 24(IBM)を使用した。
【結果と考察】
 舌苔付着の主観評価に対して,舌背細菌レベルとは弱い正の相関が,舌背細菌数とは中等度の正の相関が認められた。舌背細菌レベル,舌背細菌数は男性,喫煙有が有意に高く,年齢,歯磨き回数,義歯使用の有無,喪失歯数による有意差は認めなかった。疾患種別では40例以上認めた悪性リンパ腫,胃癌,口腔咽頭癌,結腸癌,直腸癌,子宮癌,食道癌,前立腺癌,多発性骨髄腫,乳癌,肺癌において,悪性リンパ腫群のみが他の癌種に比べて舌背細菌数が有意に少なかった。舌苔付着の主観評価から舌背の細菌数を推定できると考えられた。