一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

連携医療・地域医療

連携医療・地域医療

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-037] 介護保険施設の経口摂取支援のプロセス評価による多職種連携の発展効果

○枝広 あや子1、小原 由紀2,1、白部 麻樹1、本川 佳子1、本橋 佳子1、伊藤 加代子3、渡部 芳彦4、渡邊 裕1、平野 裕彦1、田中 弥生5、安藤 雄一6 (1. 東京都健康長寿医療センター、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔健康教育学分野、3. 新潟大学医歯学総合病院口腔リハビリテーション科、4. 東北福祉大学総合マネジメント学部、5. 駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科、6. 国立保健医療科学院)

【目的】
 多職種同士が効果的な経口摂取支援の連携体制を構築するまでには,チームビルディングへの何らかの促進因子がある。そこで我々は,経口維持支援の実施プロセスがもたらす多職種チーム全体への長期的な効果を検証した。
【方法】
 対象は介護保険施設に所属する専門職等とし,経口摂取支援研修会の参加を募った。研修会に参加した群を介入群とし,非介入群は研修会に不参加の施設から無作為に抽出し,チームの構造と研修前後および6ヵ月後のチームの変化を郵送調査した。本調査は東京都健康長寿医療センター研究所倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
  検討対象は介入群236名,非介入群131名計367名であった。施設での伝達講習を実施したものは介入群が有意に多く(p=0.001),伝達講習をしたチームでは,6ヵ月後のチームメンバーの食事観察や特別な支援の要点の理解が有意に良好であった(p=0.020)。チームのリーダー役の存在およびアドバイザー役の存在は6ヵ月後の連携に対する効力感やメンバーへの教育効果を有意に向上させていた(ともにp<0.001)。歯科専門職の関与は利用者の発熱・肺炎発生を有意に低下させた(p=0.049)。ロジスティック回帰分析では継続的なアドバイザーがいることが連携への効力感,他職員への教育効果,発熱予防効果に影響していた(p<0.001,0.029,0.037)。
【考察】
 経口維持加算の要件では,多職種による食事観察や会議における意見交換のプロセスを実施する必要があり,チームが個々の症例に対して実施を重ねることによりメンバーへの教育効果や長期的アウトカムを生んでいると考えられた。