The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-055] 高齢者医療センターにおけるアルツハイマー病患者の口腔内動態調査について

○石井 隆哉1、小泉 寛恭2、篠原 光代3、平場 晴斗4、中村 光夫4、松村 英雄4 (1. 順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター、2. 日本大学歯学部歯科理工学講座、3. 順天堂大学医学部歯科口腔外科学研究室、4. 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座)

【目的】
 近年,わが国では急速に高齢化社会を迎え,認知症疾患患者の増加が重大な社会問題となっている。認知症患者の中でも多くを占めるのが,アルツハイマー病(以下AD)である。ADの要因として残存指数との相関が報告されている。当医療センターでは,高齢者や有病者を中心に,口腔外科処置,一般歯科処置を行っているが,AD患者の口腔内動態調査は行っていない。そこで今回,当医療センターの初診患者に対し調査を行った。
【方法】
 本調査では,2015年2月から2018年1月までの36ヵ月間での一般歯科処置を主訴として当科に初診来院する患者を対象に,人数,性別,年齢,現在歯,健全歯,未処置歯,処置歯,喪失歯,義歯使用を集計し,ADとADを除いた65歳以上の高齢者(non-AD)との比較,調査を行った。
【結果と考察】
 初診患者数,473名,平均年齢,72.2歳,そのうちADは,82名,平均年齢,81.5歳,non-ADは,290名,平均年齢,77.9歳であった。現在歯,健全歯,未処置歯,処置歯および喪失歯数の平均は,ADで11.9,3.3,2.8,5.8,17.4,non-ADで16.8,5.7,2.6,8.5,13.2であった。義歯使用は,AD,56名,non-AD,154名であった。今回,ADとnon-ADを比較すると,ADでは平均年齢は高くなり,喪失歯数の増加する傾向が見られた。AD,non-ADともに半数以上が義歯を使用していた。ADの要因として残存歯数との相関が報告されているように,喪失歯の増加は,筋力,栄養摂取量の低下などにも影響してくる。今後も,残存歯の状態,口腔衛生状態を含め,さらに口腔内動態調査を進めていく必要があると思われる。