[P一般-064] 口腔白板症組織および口腔扁平上皮癌組織における長寿遺伝子Sirt1の発現状態
【目的】
サーチュイン1遺伝子(Sirt1)は、長寿遺伝子または抗老化遺伝子と呼ばれるヒストン脱アセチル化酵素で、各種固形癌において発現異常が報告されている。これまでに我々は、口腔扁平上皮癌由来細胞株を用いたin vitroの実験により口腔扁平上皮癌細胞におけるSirt1の発現低下を同定し報告してきた。本研究では口腔白板症組織と口腔扁平上皮癌組織におけるSirt1タンパク質の発現状態を解析した。
【材料および方法】
東京歯科大学千葉病院口腔外科を受診し十分なインフォームドコンセントを行い,同意の得られた口腔白板症と診断された20症例と口腔扁平上皮癌と診断された58症例を対象とした。生検時または手術時切除標本におけるSirt1タンパク質の発現状態を,免疫組織化学染色法を用いて解析した。免疫組織化学染色の評価方法はImage-Pro Plusを使用し,1㎟あたりの染色の比率を不作為に3区画選び検討し,平均値を算出した。なお,本研究は東京歯科大学倫理委員会の承認を得た上で行った(承認番号709号)。
【結果と考察】
口腔白板症組織におけるSirt1タンパク質発現状態は,切除断端部付近の正常組織と比較して著変なく発現が認められた(20症例中17症例(85.0%))。一方で、口腔扁平上皮癌組織では,正常組織と比較して58症例中26症例(44.8%)においてSirt1タンパク質の発現低下が認められた。Sirt1タンパク質は,正常組織と口腔白板症組織では発現が認められたが,口腔扁平上皮癌組織では発現が低下する傾向を示していた。Sirt1タンパク質の発現低下は,口腔白板症の癌化に関連する可能性が示唆された。
サーチュイン1遺伝子(Sirt1)は、長寿遺伝子または抗老化遺伝子と呼ばれるヒストン脱アセチル化酵素で、各種固形癌において発現異常が報告されている。これまでに我々は、口腔扁平上皮癌由来細胞株を用いたin vitroの実験により口腔扁平上皮癌細胞におけるSirt1の発現低下を同定し報告してきた。本研究では口腔白板症組織と口腔扁平上皮癌組織におけるSirt1タンパク質の発現状態を解析した。
【材料および方法】
東京歯科大学千葉病院口腔外科を受診し十分なインフォームドコンセントを行い,同意の得られた口腔白板症と診断された20症例と口腔扁平上皮癌と診断された58症例を対象とした。生検時または手術時切除標本におけるSirt1タンパク質の発現状態を,免疫組織化学染色法を用いて解析した。免疫組織化学染色の評価方法はImage-Pro Plusを使用し,1㎟あたりの染色の比率を不作為に3区画選び検討し,平均値を算出した。なお,本研究は東京歯科大学倫理委員会の承認を得た上で行った(承認番号709号)。
【結果と考察】
口腔白板症組織におけるSirt1タンパク質発現状態は,切除断端部付近の正常組織と比較して著変なく発現が認められた(20症例中17症例(85.0%))。一方で、口腔扁平上皮癌組織では,正常組織と比較して58症例中26症例(44.8%)においてSirt1タンパク質の発現低下が認められた。Sirt1タンパク質は,正常組織と口腔白板症組織では発現が認められたが,口腔扁平上皮癌組織では発現が低下する傾向を示していた。Sirt1タンパク質の発現低下は,口腔白板症の癌化に関連する可能性が示唆された。