The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

加齢変化・基礎研究

加齢変化・基礎研究

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-067] 超音波エラストグラフィを用いた舌の硬さの検討

○三浦 慶奈1、大久保 真衣1、杉山 哲也1、石田 瞭1 (1. 東京歯科大学口腔健康科学講座摂食嚥下リハビリテーション研究室)

【目的】
 超音波エラストグラフィは軟組織の硬さの計測技法として開発され,頭頚部では咬筋に用いられている。我々は高齢者の口腔機能低下に関与する舌の運動機能には,舌の硬さの関与も一因であると考えた。そこでまず,若年者における超音波エラストグラフィを用いた安静時の舌の硬さと舌圧の関連性の検討を目的として本実験を行った。
【対象および方法】
 対象は平均年齢25.7±1.5歳の健康成人10名(女性5名,男性5名)とした。舌の硬さの計測には超音波診断装置(Noblus. HITACHI)の Real-time Tissue Elastography のうち Strain Ratio(SR)を用いた。SR 値は低い程,硬いことを示す。下顎第二小臼歯相当部の舌背面からプローブをあて,舌表層から顎舌骨筋下端までを描出し,その中央の硬さを計測した。1動画あたり3枚の画像を記録し,その動作を3 回行うことで,1人当たり合計9枚の画像を計測した。その平均値をSR 値とした。舌圧は,舌圧測定器(JMS)を用いて最大舌圧を計測した。統計学的分析にはスピアマン検定を用いた。本調査は東京歯科大学倫理委員会の承認を得て行った(承認番号 719)。
【結果と考察】
 SR 値は平均0.47±0.6 ,最大値0.87±0.4 ,最小値0.24±0.04 であった。また舌圧は平均43.1±1.8 kPaであった。SR 値と舌圧には有意な負の相関があり(r=-0.89),本実験条件では,安静時の舌が硬いものほど舌圧が強くなることがわかった。
 SR 値は舌の状態や計測部位によっても変化すると考えられる。今後更に実験条件を変えて計測を行い,健康高齢者や様々な疾患を有する高齢者についても検討を加えていきたい。