The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-071] 歯周病原細菌に焦点をあてた誤嚥性肺炎重症化予防に関与する分子メカニズムの解析

○弘田 克彦1、大野 由香1、中石 裕子1、野村 加代1、坂本 まゆみ1、和食 沙紀1、内田 智子1、濱田 美晴1 (1. 高知学園短期大学医療衛生学科歯科衛生専攻)

【目的】
 我々は,歯周病原細菌であるStreptococcus intermedius (Si)の菌体外histone-like DNA binding protein (eSi-HLP)に焦点を当て,eSi-HLPが病原性を発揮する分子メカニズムについて解析してきた。Siは,緑膿菌とともに難治性呼吸器疾患からの分離報告例が急増している。本研究では,eSi-HLPと緑膿菌が産生するピオシアニンが,ヒト免疫応答に及ぼす影響について検討した。
【材料および方法】
 rSi-HLPで刺激した培養ヒト単球系細胞(THP-1細胞)からのサイトカイン産生量をMutiplex Bead Assayにて定量した。ピオシアニンで刺激したTHP-1細胞における遺伝子発現変化を,DNA Microarrayにて解析した。形態変化は,特異抗体を用いた免疫組織学的蛍光染色法にて解析した。
【結果と考察】
 50 μg/mlの過剰なrSi-HLPは疾病の重篤度を示し,主要な生物学的マーカーとして認識されているCXCL10を,THP-1細胞から5,000 pg/ml以上の高濃度で放出させる誘導因子であった。20μMピオシアニン刺激はTHP-1細胞にヒストン異常を生じさせる可能性が示唆された。Siや緑膿菌が過剰に存在する口腔・咽頭細菌叢を有する高齢者では,過剰なeSi-HLPとピオシアニン作用が複合的に組み合わさって負の連鎖が生じ,重篤な誤嚥性肺炎が生じる可能性が考えられる。口腔ケアにより歯周病原細菌や緑膿菌は咽頭細菌叢から激減する。そのため口腔ケアには,細菌に耐性化を生じさせることなく,負の連鎖を遮断させる特筆すべきメリットが存在していると考えられる。