The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-072] ステロイド性骨粗鬆症患者に抜歯および補綴治療を行った症例

○上田 圭織1、久保田 一政1、猪越 正直1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【目的】
 骨修飾薬の使用患者が増加する昨今,薬剤関連性顎骨壊死が問題となっている。今回,ステロイド性骨粗鬆症患者に対してビスホスホネート製剤使用前に全顎的な抜歯,および補綴処置を行った1例について報告する。
【症例および処置】
 82歳女性。関節リウマチ,ステロイド性骨粗鬆症による圧迫骨折の既往がある。本学医学部附属病院,膠原病・リウマチ内科より,ビスホスホネート製剤使用前の口腔内精査を依頼され,2017年8月に当科初診となった。
 歯科的既往歴として,近医でのインプラントによる全顎的補綴治療が挙げられる。
 X線写真、歯周ポケット検査から,抜歯部位,インプラントの除去部位を決定し,8月末から10月末にかけて予後不良歯の抜歯と臼歯部のインプラント体の除去を行った。11月より義歯の作製を開始し,12月末に新義歯を装着した。
【結果と考察】
 現在,義歯の調整を行うとともに,プラークコントロール改善を目指し,歯科衛生士による口腔ケアを続けている。今後,上顎前歯部のインプラント上部構造の形態を修正し,よりプラークコントロールのしやすい補綴物製作を行う予定である。
 本症例では,基礎疾患として関節リウマチと,それに伴うステロイド性骨粗鬆症があった。ステロイド内服開始後の骨量の減少率は,初めの数カ月で8〜12%と極めて高く,骨折リスクを低下させるため早期の対処が重要となる。ステロイド性骨粗鬆症に限らず,骨修飾薬の使用は今後増加が予想される。歯科として薬剤関連性顎骨壊死を防ぐには,プラークコントロールの重要性を患者に理解させることと,清掃しやすい形態の補綴物を製作すること,不適合な修復物や義歯の改善を行うことが重要と考える。