The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-076] 静脈内鎮静法で対応した脳梗塞後認知機能低下を呈する2症例

○浅尾 美沙1、井上 良介1、奥 菜央理1、田渕 裕朗1、是枝 圭貴1、柏﨑 晴彦1 (1. 九州大学病院高齢者歯科・全身管理歯科)

【目的】
 脳梗塞とは,脳血管の血流障害により脳実質が壊死に至った状態で,発症後片麻痺・失語症・失行・失認といった後遺症を発症する場合がある。今回脳梗塞の既往があり後遺症で認知機能が低下し歯科処置に協力が得られない患者を静脈内鎮静下で処置した2例を経験したのでその概要を報告する。
【症例および処置】
 症例1:82歳男性。不随意運動と歯科治療に対して非協力的であることから,かかりつけ歯科医院より抜歯と上下義歯作製依頼で当科初診となった。既往歴は多発性脳血管障害,高血圧症,脂質異常症,慢性腎不全,閉塞性動脈硬化症であった。初診時,覚醒下での口腔内診査およびX線撮影は困難であった。上下義歯は修理と調整を繰り返されており,適合不良であった。静脈内鎮静下で残根抜歯および上下義歯印象採得と咬合採得を行い,覚醒下で義歯を装着した。症例2:79歳男性。歯が痛くて暴れることと,歯科治療に対して非協力的であることを主訴にかかりつけ歯科医院より依頼され当科初診となった。既往歴は統合失調症,脳梗塞後遺症,脳血管性認知症,慢性腎機能障害,総胆管結石性胆管炎であった。初診時,体動が激しく覚醒下での口腔内診査およびX線撮影は不可能であった。静脈内鎮静下で抜歯およびカリエス治療を行った。
【結果と考察】
 静脈内鎮静法を用いることにより不随運動や非協力的な行動に対して安全に処置を行うことができた。患者と意思疎通ができなかったため,口腔内の症状等は生活を共にしている家族からの聴取と,医科主治医との対診で得た情報をもとに治療計画を立案し,診療を行った。家族の希望には沿うことができたが,患者の望む治療であったかは疑問が残った。