The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-079] 地域歯科医師会診療所における,要介護高齢者歯科治療時の局所麻酔薬の選択理由

○間宮 秀樹1、堀本 進1、宮本 智行2、脇田 亮2、三浦 雅明3、深山 治久2、秋本 覚1、和田 光利1、平野 昌保1、鈴木 聡行1 (1. 藤沢市歯科医師会、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻口腔機能再構築学講座麻酔・生体管理学、3. 埼玉県リハビリテーションセンター歯科)

【緒言】
 局所麻酔は注射の痛みと血管収縮薬が循環を変動させるため要介護高齢者では特に注意が必要である。藤沢市歯科医師会南部歯科診療所では歯科麻酔科医が患者のモニタリングを行うとともに局所麻酔薬を選択している。今回我々は治療時に使用された局所麻酔薬の種類を調査し,選択理由について検討した。
【方法】
 2017年8月1日から2018年1月31日までの6ヵ月間に上記診療所を受診した40歳以上の患者を対象とし,診療記録および麻酔記録を基に局所麻酔使用症例について,患者背景,麻酔薬の種類,選択理由,治療内容,偶発症等を検討した。
【結果】
 対象期間の総症例数は210例(38名),平均年齢77歳で,アドレナリン禁忌薬物内服患者はいなかった。局所麻酔症例は32例(15.2%),14名であった。アドレナリン添加リドカイン(以下LA)の使用が18例(56%)で最も多く,フェリプレシン添加プロピトカイン(以下PF)11例(35%),メピバカイン(以下M)3例(9%)であった。局所麻酔後に偶発症の発生はなかった。治療内容は抜歯17例,根管治療6例,その他9例であった。PFおよびMは局所麻酔前の血圧上昇(収縮期圧160mmHg以上)に対して12回,大動脈解離と心筋梗塞の既往のある患者に対してPFが2回使用されていた。
【考察】
 一般的には局所麻酔薬としてLAが選択されることが多いが,血圧上昇を認めた症例に対してはアドレナリンの使用が避けられていた。頻回の来院が困難な要介護高齢者に対する歯科治療では急性症状の寛解のため,血圧上昇を認めても局所麻酔を使用せざるをえない場合があり,安全性を確保しながら麻酔効果を得るために薬剤の選択が行われていると考えられた。