[認定P-12] 訪問診療により食形態改善に成功した認知力の低下した配偶者を有する高齢患者の一例
【目的】
近年,患者および家族の高齢化に伴い,最適なリハビリプログラムを遵守できない症例にしばしば遭遇する。今回この様な症例において食形態が改善した事例を経験したので報告する。
【症例および処置】
88歳男性,2017年5月左前大脳動脈出血発症後,誤嚥性肺炎を併発し,経鼻胃管栄養となった。翌6月に胃管栄養のまま他院へ転院し,リハビリを開始した。9月にはミキサー食の自食が可能となり,翌10月から自宅療養となった。同月患者と配偶者からケアマネージャーを通して,義歯調整,口腔ケア,嚥下機能の評価の依頼があり,歯科往診を開始した。まず,義歯調整と口腔ケアを実施し,併せて口腔清掃方法を指導した。義歯の使用が可能となった後,VE検査を実施したところ,ミキサー食摂食時に嚥下反射の惹起遅延と喉頭侵入を認めた。そこでクッション類を用いて上半身の後傾を防止するように車椅子座位を調整した。間接訓練も開始することとしたが,配偶者に認知機能の低下が認められ,訓練補助などの協力は得られなかった。そのため,間接訓練は患者本人で実施可能な吹き戻しを用いた排出訓練のみとした。直接訓練では上記の座位姿勢に加え顎引き姿勢を遵守させ,頸部聴診法を用いた摂食評価とVE検査を数回実施しながら息こらえ嚥下と咳払いを指導し,普通米飯,軟菜1口大まで食形態を改善し得た。
【考察】
本症例では食事準備以外で配偶者の協力を得ることは困難であった。しかし,間接訓練として視覚刺激と聴覚刺激を有する吹き戻しを使用した簡便な排出訓練を選択したことにより患者本人のみで訓練の継続が可能であったと考えられた。今後も継続的に義歯調整と口腔衛生指導,嚥下機能の評価を行っていく予定である。
近年,患者および家族の高齢化に伴い,最適なリハビリプログラムを遵守できない症例にしばしば遭遇する。今回この様な症例において食形態が改善した事例を経験したので報告する。
【症例および処置】
88歳男性,2017年5月左前大脳動脈出血発症後,誤嚥性肺炎を併発し,経鼻胃管栄養となった。翌6月に胃管栄養のまま他院へ転院し,リハビリを開始した。9月にはミキサー食の自食が可能となり,翌10月から自宅療養となった。同月患者と配偶者からケアマネージャーを通して,義歯調整,口腔ケア,嚥下機能の評価の依頼があり,歯科往診を開始した。まず,義歯調整と口腔ケアを実施し,併せて口腔清掃方法を指導した。義歯の使用が可能となった後,VE検査を実施したところ,ミキサー食摂食時に嚥下反射の惹起遅延と喉頭侵入を認めた。そこでクッション類を用いて上半身の後傾を防止するように車椅子座位を調整した。間接訓練も開始することとしたが,配偶者に認知機能の低下が認められ,訓練補助などの協力は得られなかった。そのため,間接訓練は患者本人で実施可能な吹き戻しを用いた排出訓練のみとした。直接訓練では上記の座位姿勢に加え顎引き姿勢を遵守させ,頸部聴診法を用いた摂食評価とVE検査を数回実施しながら息こらえ嚥下と咳払いを指導し,普通米飯,軟菜1口大まで食形態を改善し得た。
【考察】
本症例では食事準備以外で配偶者の協力を得ることは困難であった。しかし,間接訓練として視覚刺激と聴覚刺激を有する吹き戻しを使用した簡便な排出訓練を選択したことにより患者本人のみで訓練の継続が可能であったと考えられた。今後も継続的に義歯調整と口腔衛生指導,嚥下機能の評価を行っていく予定である。