The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-15] 咬反射を有する患者に対して歯科訪問診療を行った症例

○松村 圭祐1 (1. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座)

【目的】
 有料老人ホームにおいて,歯科訪問診療を介し,入居者のQOL維持向上に寄与している。本症例は,長年入居者に対し歯科介入を行い,QOLの向上が認められたので報告する。
【治療・指導内容】
 患者は80歳の女性。2009年4月に脳幹梗塞を発症し,右方麻痺により訪問先施設に入居した。入居時の介護状態は要介護5であり,脳血管型認知症のため入居時から軽度の咬反射を有したが,退院時の嚥下機能評価では異常が認められなかったため,施設職員による食事介助できざみ食の経口摂取をしていた。2017年2月に,認知機能の低下と咬反射の亢進により義歯着脱が困難になり,義歯の使用頻度が著しく減少したため,咀嚼困難になり食形態をペースト食に変更した。しかし,同年5月より喫食量と体重の減少を認めたので,施設職員と患者の家族より,義歯不適合と食形態の向上の相談で依頼があったため,当講座で歯科訪問診療を開始した。口腔内清掃状態は不良であり,プラークが付着した残根が多数認められた。また,義歯は支台歯の変位で装着が不可能であった。そのため,咀嚼機能改善を目的に上下顎義歯を製作し,施設職員に着脱方法を含め,義歯管理指導を行った。口腔清掃指導も並行して行った。
【結果と考察】
 義歯装着により,顎位が安定したことで咬合支持域の確保ができ,それにより食形態がきざみ食に向上したことで喫食量と体重が増加した。また,施設職員への義歯着脱方法の指導で,咬反射に対応する技術が高まったため,義歯の着脱と口腔清掃の介入が容易になった。当院の歯科衛生士による口腔衛生実地指導を行い,継続した管理を行っている。
 今後は,定期的な検診と誤嚥性肺炎の予防に努めていくことが必要であると考えている。