[認定P-20] 本態性振戦治療に伴う口腔内の神経性疼痛が口腔内状態悪化により増悪した症例
【緒言】
本態性振戦の治療過程で神経性の口腔内疼痛を生じた患者において,口腔内状態の悪化と難治性の口腔カンジダ感染が疼痛増悪の原因となった症例を経験したので報告する。
【症例】
85歳男性。2005年に本態性振戦と診断され,2007年に深部脳刺激装置埋め込み術,2011年に視床破壊術を受けた後舌・口唇の疼痛,味覚過敏を生じた。ペインクリニックなども受診し,最終的に左舌・左口角付近の疼痛と違和感は残存した状態であった。2016年に,口腔内汚染が強く疼痛悪化がみられたため当科に紹介された。
【処置及び経過】
酸味や塩味での舌のしびれ,自発痛の訴えがあった。乾燥と発赤が見られ,培養検査にてCandida glabrata(以下C.glabとする)が検出された。ミコナゾールゲルにて2ヵ月程度で改善したため,投薬中止しいったん終診とした。1年後に症状再発のため受診,再びC.glabが検出された。かかりつけクリニックよりミコナゾールゲルを継続処方されており,ミコナゾールゲルでの治療継続と定期的口腔ケアを行ったところ,3ヵ月で症状改善は見られたがC.glabは消失しなかったためアムホテリシンBに変更し,1ヵ月で効果が得られた。その後はポピドンヨードによる含嗽と定期口腔ケアにより既存の口腔内疼痛は残存するものの口腔内状態は保たれている。
【考察】
乾燥およびC.glab感染により刺激を受けやすい状態になり神経性疼痛が悪化したものと考えられる。C.glabはミコナゾールに抵抗傾向があることが報告されている。本症例ではミコナゾールゲルを使用し続けていたが効果がなく,抵抗性があったものと考えられた。定期的な専門的口腔ケアと適切な薬剤の使用が重要であった。
本態性振戦の治療過程で神経性の口腔内疼痛を生じた患者において,口腔内状態の悪化と難治性の口腔カンジダ感染が疼痛増悪の原因となった症例を経験したので報告する。
【症例】
85歳男性。2005年に本態性振戦と診断され,2007年に深部脳刺激装置埋め込み術,2011年に視床破壊術を受けた後舌・口唇の疼痛,味覚過敏を生じた。ペインクリニックなども受診し,最終的に左舌・左口角付近の疼痛と違和感は残存した状態であった。2016年に,口腔内汚染が強く疼痛悪化がみられたため当科に紹介された。
【処置及び経過】
酸味や塩味での舌のしびれ,自発痛の訴えがあった。乾燥と発赤が見られ,培養検査にてCandida glabrata(以下C.glabとする)が検出された。ミコナゾールゲルにて2ヵ月程度で改善したため,投薬中止しいったん終診とした。1年後に症状再発のため受診,再びC.glabが検出された。かかりつけクリニックよりミコナゾールゲルを継続処方されており,ミコナゾールゲルでの治療継続と定期的口腔ケアを行ったところ,3ヵ月で症状改善は見られたがC.glabは消失しなかったためアムホテリシンBに変更し,1ヵ月で効果が得られた。その後はポピドンヨードによる含嗽と定期口腔ケアにより既存の口腔内疼痛は残存するものの口腔内状態は保たれている。
【考察】
乾燥およびC.glab感染により刺激を受けやすい状態になり神経性疼痛が悪化したものと考えられる。C.glabはミコナゾールに抵抗傾向があることが報告されている。本症例ではミコナゾールゲルを使用し続けていたが効果がなく,抵抗性があったものと考えられた。定期的な専門的口腔ケアと適切な薬剤の使用が重要であった。