The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-21] 摂食嚥下障害患者が栄養状態を回復し多職種連携により最期まで経口摂取を継続した症例

○田頭 いとゑ1,2 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、2. 埼玉石心会病院)

【目的】
 摂食嚥下障害患者において,多職種連携により栄養状態が向上し最期まで経口摂取を継続した1 例を経験したので報告する。
【症例および処置】
 90歳男性。息子との2人暮らし。2014年8月に嚥下困難感を訴え,主治医より当科紹介となった。直近の1年で体重が20kg低下しており当科初診時には46kgであった。口腔衛生不良で動揺歯多数,食形態は常食水分液体だが舌の機能低下もあり咀嚼と送り込みが困難であった。多量の咽頭残留と水分の不顕性誤嚥を認め,誤嚥及び窒息のリスクが高いと判断された。このため,水分のとろみ付け,食形態,代償法の指導を行い補助栄養を付加した。在宅療養と経口摂取への強い意思があったため,経口摂取を継続できるよう支援することとした。医療資源が乏しかったため,歯科衛生士による口腔ケアと一般歯科治療も導入いただきヘルパーや主治医と情報共有しながら進めた。
【結果と考察】
 初診時は全身的に廃用が強く,口腔期と咽頭期ともに不良で多量に誤嚥している状態であった。介入後に誤嚥の量は減少し体重は増加したが,完全に誤嚥を解消することはできなかった。2015年7月に誤嚥性肺炎となり嚥下機能が再度低下したため,姿勢やとろみ付けを再指導した。その後も経口摂取を継続し,体重は10kg増加した。
 病院管理であれば絶食指示になったかもしれないが,在宅という環境においてご家族と本人に誤嚥に伴うリスクに対して理解があり,かつ主治医や医療従事者の協力があったことで,2年以上の間,ご本人の希望に沿う形で最期まで経口摂取を継続することができた貴重な症例であった。