The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

認定医審査ポスター

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-24] 安定的に在宅管理を行えていた患者が神経性鎮痛の管理困難と服薬にて,嚥下困難を呈することとなった一症例

○坂口 豊1 (1. 坂口歯科医院)

【目的】
 関節腱鞘炎の鎮痛管理の服薬にて嚥下困難を呈した症例を経験したので報告する。
【症例】
 85歳男性。既往歴:脳出血,糖尿病,高血圧,脳血管性認知症,右側拇指腱鞘炎。初診時主訴:左上の奥歯が痛い。診断名:右上7重度歯周病,咀嚼障害。
【治療経過】
 抜歯後総義歯作製。食事形態常食。2年経過良好であった。昨年秋より親指の反り返り,疼痛管理も難しく,神経ブロック等も奏功せず,睡眠不足による体調不良にて急速にADLの低下が認められた。最終的に神経障害性疼痛緩和薬により軽減されたが副反応と思われる傾眠が著しく,意識レベル低下,介護度も3→4,むせ込みが頻繁に起こっており,経口摂取困難。誤嚥性肺炎にて3ヵ月入院。退院時経管栄養にて退院。在宅主治医より内服薬の調整が行われた。摂食嚥下評価,処置の依頼を受け診療再開。嚥下機能評価を大学病院摂食嚥下リハビリテーション科にて嚥下内視鏡検査を施行。当初は覚醒状況が悪く,不顕性誤嚥を認めた為,味覚刺激,間接訓練を行っていた。覚醒状況の改善と血圧の上昇,拇指腱鞘炎の軽快を認め,発声が出てきたことから再度嚥下内視鏡検査施行。誤嚥は認めるものの喀出反射も上昇,意思の表現もある為,直接訓練開始。味覚刺激のみから量を増やし約3ヵ月でゼリー37g全量嚥下できるようになった。口腔内の自浄性,唾液の粘稠性も改善した。現在食事形態,食事姿勢ケアの向きなど細かく相談し対応し,その後2年半にわたり経過良好。
【結果と考察】
 現在まで約7年にわたり,誤嚥性肺炎を契機に主治医,関連医療職,介護職との連携が必要と,大学病院の専門科支援にて摂食嚥下機能に介入することができた。誤嚥性肺炎予防に直接訓練が有効であることも実感された。