[認定P-28] アルツハイマー型認知症を有する患者に歯科訪問診療を行いQOLの改善をはかった症例
【目的】
アルツハイマー型認知症では,自立した口腔清掃が難しく,義歯の使用・管理についての患者アドヒアランスが低下するため,口腔衛生状態が低下しやすい。本症例は特別養護老人ホームに入居されたアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対して歯科訪問診療を行い,QOLの向上が認められたので報告する。
【症例及び処置】
患者は92歳女性。アルツハイマー型認知症及び廃用性症候群のため,特別養護老人ホームに入居した。口臭と口腔ケア時の拒否が強いことを主訴に,介助者から歯科受診の依頼を受けた。初診時の状態は,全顎的に口腔清掃不良が原因と思われる歯周炎と広汎性歯頸部う蝕が認められ,歯間部,口腔前庭部へ食塊が滞留し,著しい口臭を認めた。口腔清掃時の拒否が強く,介助が困難であった。歯頸部う蝕の治療を行うとともに,介助者による口腔清掃方法の指導及び,食形態の変更を指示した。口腔清掃状態が改善された後も,上顎臼歯部の動揺,及び歯根部の露出が認められたが,義歯の使用に対する拒否が強いため,動揺歯の固定を行い,残存歯を可及的に保存することとした。
【結果と考察】
治療当初はブラッシング時の歯肉出血が多く,拒否が強かったが,歯頸部う蝕の治療と口腔衛生指導が進むにつれ,出血が減少し,拒否も弱まった。プラークリテンションファクターとなっている広汎性歯頸部う蝕の治療により,自浄性が向上し,歯周炎が改善したためと考えられる。動揺歯を固定したことで口腔清掃時の疼痛が減少し,その結果,口腔清掃時の拒否が弱まり,患者・介助者双方の負担が軽減され,満足を得られた。現在15ヵ月が経過し,疼痛や口腔清掃時の拒否等の訴えはない。今後も継続的に口腔衛生指導を行っていく予定である。
アルツハイマー型認知症では,自立した口腔清掃が難しく,義歯の使用・管理についての患者アドヒアランスが低下するため,口腔衛生状態が低下しやすい。本症例は特別養護老人ホームに入居されたアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対して歯科訪問診療を行い,QOLの向上が認められたので報告する。
【症例及び処置】
患者は92歳女性。アルツハイマー型認知症及び廃用性症候群のため,特別養護老人ホームに入居した。口臭と口腔ケア時の拒否が強いことを主訴に,介助者から歯科受診の依頼を受けた。初診時の状態は,全顎的に口腔清掃不良が原因と思われる歯周炎と広汎性歯頸部う蝕が認められ,歯間部,口腔前庭部へ食塊が滞留し,著しい口臭を認めた。口腔清掃時の拒否が強く,介助が困難であった。歯頸部う蝕の治療を行うとともに,介助者による口腔清掃方法の指導及び,食形態の変更を指示した。口腔清掃状態が改善された後も,上顎臼歯部の動揺,及び歯根部の露出が認められたが,義歯の使用に対する拒否が強いため,動揺歯の固定を行い,残存歯を可及的に保存することとした。
【結果と考察】
治療当初はブラッシング時の歯肉出血が多く,拒否が強かったが,歯頸部う蝕の治療と口腔衛生指導が進むにつれ,出血が減少し,拒否も弱まった。プラークリテンションファクターとなっている広汎性歯頸部う蝕の治療により,自浄性が向上し,歯周炎が改善したためと考えられる。動揺歯を固定したことで口腔清掃時の疼痛が減少し,その結果,口腔清掃時の拒否が弱まり,患者・介助者双方の負担が軽減され,満足を得られた。現在15ヵ月が経過し,疼痛や口腔清掃時の拒否等の訴えはない。今後も継続的に口腔衛生指導を行っていく予定である。