The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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優秀ポスター

優秀ポスター

歯科衛生士部門

Fri. Jun 22, 2018 10:00 AM - 5:00 PM ポスター会場(5F講習室2) (5F 講習室2)

[優秀P衛生-3] 口腔の湿潤方法と口腔ケア技術に着目したシミュレーション研究

○尾花 三千代1、古屋 純一1、松原 ちあき1、徳永 淳二1、大野 友久2、角 保徳2 (1. 東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野、2. 国立長寿医療研究センター歯科口腔先端医療開発センター)

【目的】
 要介護高齢者では,誤嚥性肺炎予防や食支援の観点から,多職種が連携した口腔ケアが重要である。そのためには,歯科専門職以外でも安全かつ効率的に行える口腔ケア方法の確立が必要である。そこで本研究では,要介護高齢者の口腔と咽頭が再現されたシミュレーターを用いて,口腔の湿潤方法や口腔ケア技術の違いが,口腔ケアの効率性や安全性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 ニッシン社製口腔ケアシミュレーターMANABOTを用いて,模擬的に乾燥痰を付着させ,要介護高齢者の口腔を再現した。液体(水)使用時とジェル状口腔湿潤剤使用時の2条件下で,歯科専門職(歯科医師・歯科衛生士)53名と,某大学歯学部学生35名に口腔ケアを模擬的に実施させ,液体・ジェルの使用量および口腔咽頭残留量,口腔ケアの所要時間を測定した。また,口腔ケアの容易さに関する主観的評価を行った。本研究は本学歯学部倫理委員会の承認(D2016-096番)を得て実施した。
【結果と考察】
 歯科専門職,学生ともに,液体と比較してジェル使用時では,使用量と口腔咽頭残留量が有意に少なかった。また,学生においては,口腔ケアの容易さがジェル使用時に有意に向上した。しかし,その他の項目については有意な差はみられなかった。口腔ケア技術が異なる歯科専門職と学生での比較では,液体の口腔咽頭残留量が歯科専門職と比較して学生で有意に多いが,ジェルでは有意な差はなかった。以上より,誤嚥リスクが高い要介護高齢者では,ジェル状の口腔湿潤剤を用いた口腔ケアの有用性が高く,特に技術が乏しい場合では,液体を用いる際に注意が必要であり,口腔ケア時の湿潤法を考慮する必要性が示唆された。