一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

認定医審査ポスター

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2018年6月21日(木) 12:30 〜 16:00 ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-08] 介護老人保健施設(老健)における常勤歯科衛生士の役割と効果について

○内藤 晋一1 (1. 医療法人社団創健会松江記念病院歯科口腔外科)

【目的】
 高齢者施設の入所者に対する口腔ケアの重要性が認識され,歯科衛生士が施設に雇用されたり,関与するケースが多い。松江記念病院(172床)は,入院患者の平均年齢が80.2歳の高齢者病院であり,急性期病院の後方支援病院として位置づけられている。当法人の老健に,2015年6月より,病院の歯科衛生士(7名勤務)を半年交代で1名常勤派遣したことで,さまざまな効果が得られたので,その概要を報告する。
【対象と方法】
 当法人介護老人保健施設ナーシングセンターあけぼの(定員80人)にて,入所時に歯科介入の同意を得られた入所者には,月4回の口腔衛生管理加算を,通所リハビリテーション利用者には,口腔機能向上加算を実施している。また,歯科治療の必要性がある入所者には,新たに同意を得て,訪問歯科診療を行っている。今回,2016年から2年間における,入所者の口腔衛生管理加算数,歯科診療数,退所後における退所先への歯科紹介数と受診率等の調査を行った。
【結果】
 口腔衛生管理加算は,約90%で算定できた。歯科診療延数は,歯科衛生士常勤以前と比較すると,約1.5倍に伸び,2016年が343件,2017年が364件であった。退所数251件(在宅115件,他施設53件,病院51件,死亡32件)のうち,歯科医院紹介は52件(在宅36件,他施設16件)で,その後歯科受診された率は,他施設紹介が高かった。
【考察】
 高齢者施設に歯科衛生士が常勤になったことで,施設内の口腔ケアレベルが上がり,口腔状態をより早く把握して,口腔機能管理に繋がるようになったと考える。また,一施設だけで終わるのではなく,次の移動先に的確に繋げることで,地域連携の手助けとなることが示唆された。