The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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Thu. Jun 21, 2018 12:30 PM - 4:00 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-22] 不顕性誤嚥が見られた要介護高齢者に対し多職種連携にて嚥下機能の改善を認めた1症例

○鈴木 史彦1,2 (1. 奥羽大学歯学部口腔外科学講座歯科麻酔学分野、2. 奥羽大学歯学部附属病院地域医療支援歯科)

【目的】
 不顕性誤嚥は咳反射による誤嚥物の喀出が困難であるため,誤嚥性肺炎のリスクを高める。今回,嚥下内視鏡検査(VE)にて不顕性誤嚥が見られた要介護高齢者に対して,多職種連携にて嚥下機能の改善を認めた症例を経験したので報告する。
【症例および処置】
 80歳女性,要介護度4。既往に統合失調症,アルツハイマー病,高血圧症があり,3年前に脱水,栄養障害,逆流性食道炎で入院している。1か月前に介護老人保健施設(老健)にて左大腿骨骨折と肺炎を併発したため入院となり,退院後に老健に再入所となった。食事は自力摂取が可能であるものの傾眠があり,全量摂取は困難で食形態は嚥下調整食4から3へと低下していた。嚥下状態を確認するためVEを実施した。中間のとろみでは不顕性誤嚥があり,濃いとろみでも咽頭部残留と喉頭侵入が見られた。嚥下調整食3では嚥下反射の遅延と咽頭部残留が見られた。間接訓練として冷圧刺激法,Shaker訓練,咳嗽訓練を実施し,直接訓練として交互嚥下を促した。また,誤嚥性肺炎予防のために口腔ケアを実施した。傾眠傾向を改善するため,老健医師と協議して向精神薬2剤と抗認知症薬1剤を中止し,降圧剤のみ内服とした。
【結果と考察】
 VEによる5か月後の再評価では,嚥下反射の遅延はあるものの,咽頭部残留は見られなくなった。食事中も覚醒しており,全量摂取が可能となった。介入前と介入5か月後の栄養状態の変化は,総タンパク質が5.4 g/dlから6.1 g/dlへ,アルブミンが2.8 g/dlから3.5 g/dlへそれぞれ改善していた。多職種連携による多角的なアプローチが嚥下機能の改善につながったと考える。