The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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Thu. Jun 21, 2018 12:30 PM - 4:00 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-26] 重度慢性歯周炎により咀嚼障害をきたした高齢者の1例

○谷脇 裕人1 (1. 北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座高齢者歯科学教室)

【緒言】
 重度に進行した慢性歯周炎により咀嚼障害をきたした高齢者に対して多数歯抜歯を行った後に全部床義歯を製作し,良好な結果を得た1例を報告する。
【症例および処置】
 患者は79歳,女性。骨粗鬆症,大腸癌術後,胃潰瘍の既往があった。十数年前より近医歯科にて歯周治療を受けていたが症状の改善が認められず,またアレンドロン酸ナトリウム水和物を内服していたことから当科を紹介され,2015年8月に受診した。全顎的に歯肉の発赤と腫脹を認め,歯周ポケットが6mm以上の歯の割合は64.3%であった。両側下顎犬歯,左側下顎第一小臼歯に2度,右側下顎智歯を除く歯に1度の動揺度を認めた。X線検査では全顎的に歯根の長さの約1/3〜2/3に及ぶ骨吸収像が認められた。歯周炎とう蝕の進行,年齢を考慮すると,現在歯14本はすべて保存が困難であった。そのため全身麻酔下で現在歯をすべて抜歯し,術後より治療用義歯を製作する計画を立てた。アレンドロン酸ナトリウム水和物を3年以上前から内服していたため同年7月より休薬されていたことから,11月に口腔内科にて全身麻酔下で現在歯14本をすべて抜歯した。術後から当科で上下顎全部床治療用義歯の製作を開始し,1ヵ月後に装着した。その後,粘膜調整,義歯調整を行い,義歯床下粘膜の疼痛の消失と機能的改善を認めた。翌年6月に上下顎全部床義歯の新製を開始し,9月に新義歯を装着した。
【結果と考察】
 新義歯装着後の経過は良好で,現在はメインテナンスに移行している。術前と新義歯装着1年後に行ったOHIPの結果からQOLの改善が認められた。本症例では,術後から速やかに上下顎全部床義歯を製作することにより,QOLの向上に繋げることができた。