The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 22, 2018 10:00 AM - 4:30 PM ポスター会場(5F講習室4) (5F 講習室4)

[摂食P-02] 口腔機能低下を契機として診断に至った肝細胞癌由来Garcin症候群の1例

○長谷 剛志1 (1. 公立能登総合病院歯科口腔外科)

【目的】
 Garcin 症候群とは,主に頭蓋底部の腫瘍性疾患などにより,一側性多発性に脳神経が侵されたもので,四肢麻痺および頭蓋内圧亢進症状を認めないものとされている。一方,肝細胞癌の頭蓋骨転移は6%程度と報告されており,比較的稀である。今回,口腔機能低下を主訴に当科紹介となった肝細胞癌患者に対して,摂食嚥下機能評価を進める過程で斜台転移の発見に至ったGarcin症候群の1例を経験したので,その概要を報告する。
【症例】
 患者:65歳,男性。既往歴:35歳のときにB型肝炎と診断され,53歳よりIFN治療を開始。64歳で肝細胞癌を発症した。現病歴:X年12月肝細胞癌,肝硬変症のため当院内科に入院しTAE開始。X+1年5月初旬より唾液嚥下が困難となった。現症:BMI 18.5。意識レベルはJCS清明で四肢麻痺は認められず,栄養は全粥・軟菜食を自力経口摂取していた。口腔内所見:舌背部には泡沫状唾液が貯留していた。
【処置および経過】
 VEを施行したところ,舌下神経麻痺が認められ食塊形成が不十分のまま咽頭流入していた。さらに,右舌咽神経および反回神経麻痺により,右披裂部の動きが低下していた。X+1年5月より摂食機能療法開始となったが,これら脳神経の障害に対する原因を精査したところ,肝細胞癌が斜台転移していることがわかった。X+1年9月に胃瘻造設後,食形態をゼリー形態に変更。肺炎をきたすことなく入院生活を継続できている。
【考察】
 本症例は一側性脳神経麻痺よりGarcin症候群の診断に至った。早期に胃瘻造設を行うと同時に摂食機能療法を開始することができた結果,QOLの改善がみられた症例であると考えられる。