The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 22, 2018 10:00 AM - 4:30 PM ポスター会場(5F講習室4) (5F 講習室4)

[摂食P-08] 在宅復帰を目指した舌悪性腫瘍非再建患者の一症例

○皆木 瞳1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科)

【患者】
 89歳男性,妻と二人暮らし,術前のADLは自立しており介護サービスの利用歴なし。
【現病歴】
 右側舌悪性腫瘍に対し大阪大学歯学部附属病院口腔外科にて舌半側切除術,右側頸部郭清術,鼠経採皮術,植皮術,気管切開術実施。高齢であることを考慮し舌再建手術は行わなかった。術後に経鼻栄養となり,嚥下機能評価を目的に当部へ紹介,初診となった。
【既往歴】
 10年前に左側歯肉腫瘍に対する放射線治療および化学療法を施行。
【臨床経過】
 術後1週間後に嚥下内視鏡検査で大量の不顕性誤嚥を認め,間接訓練を行った。舌接触補助床(PAP)を作製し,直接訓練および経口摂取を開始した。本症例は患者が高齢であること,過去に行った放射線治療の副作用や今回の手術で再建を行わなかったこと,さらに大量の不顕性誤嚥を認めたことから誤嚥の症状が遷延化する可能性が高いと考えられた。そのため,かかりつけ医と相談し介護認定を取得するなど退院後の生活基盤の整備を行った。術後2週間後に気管切開カニューレは抜去となったが,誤嚥を繰り返し直接訓練は難渋した。姿勢や食形態の工夫とPAPの装着で誤嚥は減少したが完全に防げなかったため,経鼻栄養の抜去は困難と判断し,当院を退院後,総合病院にて胃瘻造設した後に在宅復帰となった。現在は主に胃瘻からの栄養摂取と経口摂取を併用しており,当部で経過観察を行っている。
【考察】
 本症例は舌悪性腫瘍切除術をきっかけに嚥下障害を呈し,介助が必要となった。しかしながら初診時から患者背景および病態を把握し,退院後を見通したリハ計画を立案・実施することで円滑に在宅復帰につなげることができた。