The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 22, 2018 10:00 AM - 4:30 PM ポスター会場(5F講習室4) (5F 講習室4)

[摂食P-09] 老人保健施設において胃瘻造設患者に嚥下機能評価を行い経口摂取が可能となった一症例

○林田 有貴子1 (1. 有貴歯科クリニック)

【症例】
 91歳の女性。平成26年にアルツハイマー型認知症と診断され,平成27年にラクナ梗塞,平成28年にアテローム血栓性脳梗塞を起こし,誤嚥性肺炎を繰り返したため経口摂取困難と診断され胃瘻造設となった。その後は嚥下訓練ゼリーを1日1個摂取するのみで,老人保健施設入所後も家族が面会に訪れた際に行われていた。平成29年6月にご家族より経口摂取ができるようになれば嬉しいと現状評価の希望があり,当院の訪問歯科診療初診となった。初診時所見は口腔衛生状態はほぼ良好,覚醒良好で複雑な内容の理解は困難だが,簡単な応答は可能,発声も良好で嗄声などはなし,円背著明で車いす上での座位保持は右に傾き困難であった。
【経過】
 初回の嚥下内視鏡検査の結果,嚥下反射の惹起遅延,咀嚼嚥下のタイミングのずれを認めた。そこで,まずは昼のみ1食からソフト食を開始した。その後,月に1度施設のスタッフとミールラウンドを行い,食事回数を増やしていった。経口摂取は順調にすすみ,嚥下内視鏡検査にて再評価を行ったところ,食塊形成は良好で,嚥下中に喉頭侵入を認めるが,誤嚥はなく喀出可能,嚥下後の咽頭残留は認めなかったため,食形態をかゆキザミ食へ変更した。その後も月に1度のミールラウンドを行いながら経口摂取を継続し,現在に至っている。
【考察】
 病院や施設を移り,胃瘻増設の経緯について詳細が不明となった患者では,機能が回復した後も経口摂取が行われないままとなっている場合がある。本症例では施設職員と協働し嚥下機能評価から生活介助や機能訓練へつなげることができたことから,経口摂取が可能となった。