[摂食P-12] 重度嚥下障害患者に対し要望を勘案してリハビリテーションを行った一症例
【目的】
嚥下機能評価の結果と患者の要望が乖離している重度嚥下障害患者にリハビリテーションを行った症例を報告する。
【症例】
82歳男性。自宅で自立生活をしていたが,転倒を繰り返し左右大腿骨頸部骨折などのため長期入院となった。入院中に嚥下障害を併発し,VF検査の結果,嚥下食中心の食形態となった。リハビリ病院退院後,老健施設へ入居した。日常生活に介助が必要であるものの,患者は在宅復帰を強く希望していた。(要介護度:4,寝たきり度:A1,JCS:清明,認知症:なし)
【経過】
老健施設入所後も食事内容は継続していたが,本人の食形態向上の強い希望により訪問診療の依頼を受けた。初回の嚥下内視鏡検査の結果,骨棘の疑い,嚥下機能低下ならびに不顕性誤嚥が認められたため,重度嚥下障害と診断して病院での治療的アプローチや経管栄養を提案した。しかし,本人が現施設内での対応と経口摂取の維持を強く希望したため,食形態の維持を目的として,舌ならびに舌骨上筋群の訓練,干渉波電気刺激を行い,食事に関して一口量の調整と摂取ペースの指導を行った。さらに,施設内で誤嚥性肺炎や窒息などの緊急時の対応について確認を行った。再評価時には,肺炎の発症,さらなる機能低下もなく,経口摂取を維持していた。その後,食事,栄養および服薬に関する在宅移行支援に関わり,患者は在宅復帰した。在宅復帰後も継続して訪問し,機能評価やリハビリテーションを行っている。
【考察】
所見と患者の要望が乖離していることは多くある。リスクと患者の要望とのバランスをとることは困難であるが,患者の意思を尊重して,機能評価に基づいた予後予測を行い対応したことで,本人の望む生活が支援できたと考える。
嚥下機能評価の結果と患者の要望が乖離している重度嚥下障害患者にリハビリテーションを行った症例を報告する。
【症例】
82歳男性。自宅で自立生活をしていたが,転倒を繰り返し左右大腿骨頸部骨折などのため長期入院となった。入院中に嚥下障害を併発し,VF検査の結果,嚥下食中心の食形態となった。リハビリ病院退院後,老健施設へ入居した。日常生活に介助が必要であるものの,患者は在宅復帰を強く希望していた。(要介護度:4,寝たきり度:A1,JCS:清明,認知症:なし)
【経過】
老健施設入所後も食事内容は継続していたが,本人の食形態向上の強い希望により訪問診療の依頼を受けた。初回の嚥下内視鏡検査の結果,骨棘の疑い,嚥下機能低下ならびに不顕性誤嚥が認められたため,重度嚥下障害と診断して病院での治療的アプローチや経管栄養を提案した。しかし,本人が現施設内での対応と経口摂取の維持を強く希望したため,食形態の維持を目的として,舌ならびに舌骨上筋群の訓練,干渉波電気刺激を行い,食事に関して一口量の調整と摂取ペースの指導を行った。さらに,施設内で誤嚥性肺炎や窒息などの緊急時の対応について確認を行った。再評価時には,肺炎の発症,さらなる機能低下もなく,経口摂取を維持していた。その後,食事,栄養および服薬に関する在宅移行支援に関わり,患者は在宅復帰した。在宅復帰後も継続して訪問し,機能評価やリハビリテーションを行っている。
【考察】
所見と患者の要望が乖離していることは多くある。リスクと患者の要望とのバランスをとることは困難であるが,患者の意思を尊重して,機能評価に基づいた予後予測を行い対応したことで,本人の望む生活が支援できたと考える。