[摂食P-16] 加齢による嚥下機能の低下に対し食支援を行った重症心身障害者の一例
【緒言】
重症心身障害者は,原疾患に加え神経・筋疾患等を合併するため,その多くが嚥下障害を有する。また重症心身障害者の嚥下障害は,加齢変化による機能低下により進行することが知られており,加齢に伴い何らかの対応が必要となる。しかしながら,心身に重度の障害を有する症例には訓練の適応は困難であることが多い。そのため,嚥下機能を評価し,食物や環境を調整していく支援が求められる。今回,加齢に伴い嚥下機能の低下を示した症例への取組みを報告する。
【症例】
脳炎後後遺症の50歳男性。意思疎通は困難,食事は全介助を要する状態。徐々に食事介助時のむせが目立つようになったことを主訴に受診。むせに伴い食事時間も延長していることから,施設職員は食形態の変更を検討するものの,肺炎の既往などがないこともあり家人の了解が得られない状態だった。
【経過】
VEの結果,食塊形成はやや不良,咽頭残留,誤嚥を認め,水分は一部で不顕性誤嚥も認められた。一方で,水分以外は少量の機会誤嚥のみで交互嚥下にて対応可能だった。以上から,増粘剤の使用と交互嚥下が有効と判断,家人に説明の上変更を行った。介入によりむせの頻度は減少し,食事時間も改善を認めた。その後も定期的に食事回診とVEをし,食形態や食事の介助の評価・調整を実施,肺炎の発症なく経口摂取が維持できている。
【考察】
本例では,嚥下機能評価に基づき,変更を最小限にとどめることで,家族の希望も尊重しつつ主訴の改善を図ることができた。嚥下機能の低下については,合併症の進行や薬剤の変更等の原因となり得るエピソードはなく,加齢による影響が最も疑われた。今後も機能低下が予想されるため,定期的な機能評価が必要であると考えられる。
重症心身障害者は,原疾患に加え神経・筋疾患等を合併するため,その多くが嚥下障害を有する。また重症心身障害者の嚥下障害は,加齢変化による機能低下により進行することが知られており,加齢に伴い何らかの対応が必要となる。しかしながら,心身に重度の障害を有する症例には訓練の適応は困難であることが多い。そのため,嚥下機能を評価し,食物や環境を調整していく支援が求められる。今回,加齢に伴い嚥下機能の低下を示した症例への取組みを報告する。
【症例】
脳炎後後遺症の50歳男性。意思疎通は困難,食事は全介助を要する状態。徐々に食事介助時のむせが目立つようになったことを主訴に受診。むせに伴い食事時間も延長していることから,施設職員は食形態の変更を検討するものの,肺炎の既往などがないこともあり家人の了解が得られない状態だった。
【経過】
VEの結果,食塊形成はやや不良,咽頭残留,誤嚥を認め,水分は一部で不顕性誤嚥も認められた。一方で,水分以外は少量の機会誤嚥のみで交互嚥下にて対応可能だった。以上から,増粘剤の使用と交互嚥下が有効と判断,家人に説明の上変更を行った。介入によりむせの頻度は減少し,食事時間も改善を認めた。その後も定期的に食事回診とVEをし,食形態や食事の介助の評価・調整を実施,肺炎の発症なく経口摂取が維持できている。
【考察】
本例では,嚥下機能評価に基づき,変更を最小限にとどめることで,家族の希望も尊重しつつ主訴の改善を図ることができた。嚥下機能の低下については,合併症の進行や薬剤の変更等の原因となり得るエピソードはなく,加齢による影響が最も疑われた。今後も機能低下が予想されるため,定期的な機能評価が必要であると考えられる。