一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

課題口演

課題口演 口腔機能低下症

口腔機能低下症

2018年6月22日(金) 10:55 〜 12:10 第2会場 (1F 小ホール)

[課題2-3] グミゼリー咀嚼時感応と口腔機能の変化についてー吹田研究ー

○橋本 栄1、小野 高裕2、來田 百代1、高阪 貴之1、伏田 朱里1、山本 雅章1、小久保 喜弘3、野首 孝祠4 (1. 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野、2. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野、3. 国立循環器病研究センター予防健診部、4. 大阪大学)

【目的】
 8020運動により20歯以上を有する者の割合は,増加する一方で,「オーラルフレイル」は,自覚のないまま進行することもあり,さらに口腔機能低下症へとつながることが報告されている.本研究では,20歯以上保有者におけるグミゼリー咀嚼時感応(噛みづらさの有無)を調査し,口腔機能の変化について検討を行った.
【方法】
 国立循環器病研究センター予防健診部による吹田研究参加者で,ベースライン時ならびに,フォローアップ時(4年以上経過)の歯科検診参加者のうち,臼歯部咬合支持域の減少がなく,残存歯数と機能歯数(ブリッジのポンティック,インプラント支持補綴装置を含む)ともに20歯以上有し,追跡期間中に歯数の変化がなかった376名(男性144名,女性232名,ベースライン時年齢50-79歳,平均63.0±7.6歳)を対象とした.咀嚼能率(検査用グミゼリー)と最大咬合力(デンタルプレスケール)を測定し,フォローアップ時の値とベースライン時の値の差をベースライン時の値で除し変化率とした.ベースライン時にグミゼリー咀嚼時感応を問診し,噛みづらさの有無により2群に分類し,上記項目の群間比較を行った.
【結果と考察】
 噛みづらさ有の群は全体の9.3%であった.ベースライン時の各検査項目について,2群間に有意差は,認められなかった.一方,フォローアップ時咀嚼能率については,両群とも低下しており,噛みづらさ有の群は,無の群と比較して有意に低く,咀嚼能率変化率も有意に大きかった.最大咬合力については,両群とも低下していたが,2群間に有意差は認められなかった.以上の結果より,グミゼリー咀嚼時の噛みづらさは,咀嚼能率低下の予兆となる可能性が示唆された.