The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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課題口演

課題口演 口腔機能低下症

口腔機能低下症

Fri. Jun 22, 2018 10:55 AM - 12:10 PM 第2会場 (1F 小ホール)

[課題2-5] 身体的フレイルに影響を及ぼすオーラルフレイル要因の共分散構造分析

○檜原 司1、後藤 崇晴1、岸本 卓大1、柳沢 志津子2、中道 敦子3、市川 哲雄1 (1. 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野、2. 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健福祉学分野、3. 九州歯科大学歯学部口腔保健学科)

【目的】
 オーラルフレイルは身体面のフレイル期の前段階に相当すると考えられているが,両者の関連,特にその因果関係においては十分に検討されていない。そこで本研究では,フレイルの中でも身体的フレイルに着目し,オーラルフレイル要因との関連性,因果関係に関して共分散構造分析を行い検討することとした。
【方法】
 被検者は225名(平均年齢75.3±7.5歳)とした。身体的フレイルの評価項目として,握力と歩行に要する時間を設定した。オーラルフレイルの評価項目として,咬合力と口腔湿潤度を設定した。解析では,重回帰分析,決定木分析に加えて,共分散構造分析を行い,身体的フレイル,オーラルフレイル要因,計4項目の関連性を検討した。なお本研究は徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認(承認番号:2404)を得て行った。
【結果と考察】
 握力,歩行に要する時間をそれぞれ従属変数とした場合,有意な独立変数として選択されたものは握力の場合,咬合力,歩行に要する時間,口腔湿潤度,歩行に要する時間の場合,握力と咬合力であった。また決定木分析の結果,従属変数を握力とした場合,第1層で咬合力が選択され,第2層で歩行に要する時間,口腔湿潤度が選択された。一方,従属変数を歩行に要する時間とした場合,第1層で握力が選択され,第2層で咬合力,第3層で口腔湿潤度が選択された。共分散構造分析の結果,咬合力から握力への有意な正のパス係数(β=0.450),握力から歩行に要する時間への有意な負のパス係数が認められた(β=-0.257)。以上の結果より,身体的フレイルとオーラルフレイル要因との因果関係が示され,特にオーラルフレイル要因としての咬合力の重要性が示唆された。